韓国銀行(韓銀)が、2013年2月を最後に中断していた金の買い入れを再開する。韓銀は「国内の金生産業者から輸出用の金を買う新しい方式を含め、中長期的に外貨準備高のうち金の割合を高める予定」と表明した。韓銀は、現物の金とは別に、最近金を原資産とする米国のETF(上場投資信託)の買い入れも開始したと明かした。ただしETFは、外貨準備高を集計する際、金ではなく有価証券に分類される。
韓銀は金仲秀(キム・ジュンス)元総裁時代の2011年から2013年にかけて金を買い入れ、金の保有量を104.4トンに増やした。しかし、ほどなくして金価格が下落すると政界からの激しい攻撃を受け、その後13年以上、金の購入を再開しなかった。同じ期間、他国の中央銀行は地政学的リスクに対応して金の保有量を増やした。その結果、韓国銀行の金保有量はワールド・ゴールド・カウンシルが集計する100カ国中40位、外貨準備高のうち金の割合は3.5%で、チリ・コロンビアを除いて最も低い98位にとどまっている。韓国の外貨準備高の規模が世界13位であることを考慮すると、非常に低い順位だ。
韓銀のチョン・ヒソプ外資運用院長はこの日、「このところ地政学的リスクが高まり、安全資産である金に対する関心が増大しているが、韓国銀行の金保有量は少ない方であるため、拡充する必要があると判断した」とし、「最近、金価格が高値に比べて下落し、価格負担が緩和された側面もある」と語った。ワールド・ゴールド・カウンシルによると、金価格は今年2月に1トロイオンスあたり5020ドル(現在のレートで約79万1000円。以下同じ)まで上がったが、8月3日の時点では4050ドル(約63万9000円)まで下落している状況だ。
韓銀の金は現在、すべてイングランド銀行が保管している。これとは異なり、今後韓国で製錬・精錬された金を買って韓国国内に保管しようとする理由について、チョン院長は「金の買い入れ経路と保管場所を多角化し、地政学的リスクを分散させるという趣旨」だとし、「ウォンで金を買い入れることに対する手続き上の利便性と、金の買い入れ経路の多角化も考慮した」と語った。韓銀は、LS MnM、高麗亜鉛など韓国企業が製錬・精錬した金のうち、韓国国内で売れず輸出用に分類された金を買う予定だ。金の保管は韓国預託決済院に任せる。セキュリティのため、具体的な場所は公開しない。フィリピン・モンゴルのような金生産国ではない国が、自国で加工した金を買い入れ、国内の金庫に保管するのは異例だ。
韓銀の金仲秀・元総裁は外貨準備高の多角化のために金を買ったが、その後の金価格下落に対する政界の非難が激しくなり、2013年2月の20トンを最後に買い入れを中止した。同年11月の国政監査の際、当時の金賢美(キム・ヒョンミ)民主党議員が総裁に「金価格もまともに予測できず、韓銀が率先して国家的損失をもたらした」と非難するなど、政界の攻撃を受けた。韓銀の元幹部は「政界の非難があまりにも激しかったため、その後は金よりも米国株などの比重を増やし、結果的には収益率も悪くなかった」としつつ、「ただし、最近の地政学的不安や他の中央銀行の動きを勘案すると、金の買い入れを先延ばしにしてはならないという声が少なからず出ている状況だったと理解している」と語った。
今年に入ってからは大きく下落したが、中長期的に金価格は着実に上昇してきた。8月3日の金価格1オンスあたり4050ドルは、韓銀が買い入れを中断した2013年2月の1627ドル(約25万7000円)より150%高い。韓銀は外貨準備高のうち金の評価額を平均買い入れ価格基準である47億9000万ドル(約7550億円)だと公開しているが、時価に換算した場合、評価額は120億ドル(約1兆8920億円)程度になる。複利で年8%程度の収益を上げた計算になる。安全資産である金は、通常、情勢が不安定になったり物価が上昇したりする場合、相対的な収益率が良くなる。
最近では、米国の様々な金融制裁の強化を警戒し、米ドルへの依存度を減らそうとする国々が米国債の代わりに金の保有量を増やしている。2024年から去る7月末の集計分までで見ると、ポーランドの中央銀行が最も多い255.2トンの金を買い入れ、中国(96.1トン)とインド(76.9トン)がこれに続いた。金保有量の上位圏は、金本位制廃止前の金の相当部分をまだ持っている米国と欧州の国々が占めている。今年7月現在で1位は8134トンを保有する米国であり、2位から4位まではドイツ(3350トン)、イタリア(2452トン)、フランス(2437トン)だ。米国と対立し、米国債の割合を減らしている中国とロシアがそれぞれ2332トン、2292トンを保有し、5位と6位に上がっている。
ワールド・ゴールド・カウンシルが74カ国の中央銀行にアンケートを実施し、7月に発表した結果によると、45%にあたる33カ国が今後1年以内に金の保有量を増やす計画だと答えた。60カ国は5年以内に金の保有量が増える見通しだと見た。