万引き犯の3人に1人は高齢者…生計型から「欲深型」へ

 7月25日、ソウル市江南(カンナム)区のCOEX(コエックス)にある衣料品店で、ある60代の女が7万ウォン(現在のレートで約7900円)のジーンズを用意してきたエコバッグに入れて盗もうとして、従業員に摘発された。この女は「会計をしようと思ったが、店の外にいる夫に少しだけ会ってもどってきた」と窃盗容疑を否定している。しかし犯行当時、この女は帽子とサングラス、マスクで顔を徹底的に隠していたことが捜査で分かった。また、エコバッグにジーンズを入れ、その上に小さなカバンを入れてジーンズを隠していたという。警察は窃盗の故意があったとみている。警察関係者は「生活苦による『生計型』の万引きではなく、欲しいものを我慢できずに及んだ犯行だとみられる」と語った。

【図】増加する高齢者の窃盗

 29日、ソウル市江東(カンドン)区のあるデパートの食品コーナーで15年間マネージャーをしているAさんは、「1週間に1、2回は客が物を盗むのを目撃する」「主に高齢者が化粧品や高級食材を盗むケースが多い」と語った。Aさんは「もし目撃しても、積極的に通報はしない。見て見ぬふりをすることが多い」「高齢者は主に犯行を否定し、大声を上げてしらを切るケースが多く、かえって営業に支障をきたすためだ」と話した。さらに「本社でも売り場のイメージが悪くなることの方を懸念し、騒ぎを避けようとする」と語った。

 60代以上の高齢者による窃盗事件が増え続けている。しかし、米や日用品を盗む「ジャン・バルジャン型(生計型)の万引き」ではなく、嗜好品やぜいたく品などを盗む「欲深型の窃盗」が増えているのが最近の傾向だ。専門家たちは「韓国が超高齢社会に突入したのに伴い、高齢者の犯罪の形態も多様化している」と分析した。

 警察庁の犯罪統計によると、60代以上の窃盗被疑者は2020年の2万3141人から2024年には3万4185人へと、4年で47.7%増加したという。2024年基準で60代以上の高齢者の窃盗犯は、全窃盗犯10万884人の33.9%に達した。窃盗犯の3人に1人が高齢者ということだ。特に71歳以上の窃盗犯は、2020年の9624人から2024年には1万6223人と68.5%も増えた。

 今年4月、京畿道高陽(コヤン)市のあるパン屋では、80代の女性があんパン5個を会計せずに持ち出し、警察に逮捕された。生活保護受給者であるこの女性には、認知症などで体の不自由な夫がいた。女性は「夫に好きなあんパンを食べさせたかった」と供述した。このように、高齢者の窃盗の多くは「生計型の万引き」だ。

 ところが最近は、欲しいものを盗むいわゆる「欲深型の窃盗」が増えているというのが警察の説明だ。ソウルのある警察署の犯罪予防課長は、「米や安価な服のように当面必要な日用品を万引きすることもあるが、最近は欲しいと思っていた高価な果物や高級靴など、欲しいものを盗むケースが多くなっている」「孫にプレゼントしたいという理由でゲーム機を盗んだ事件もあった」と語った。

 こうした高齢者の窃盗タイプの変化は統計にも表れている。2024年の1年間に警察に捕まった65歳以上の窃盗犯2万6279人の犯行動機を調査した結果、「生活が苦しくて」犯行に及んだのは3474人で、13.2%に過ぎなかった。1年前(2023年)でも、高齢窃盗犯計2万3348人のうち、純粋な生計型の窃盗は14.6%のみだった。

 専門家らは「超高齢化やソーシャル・メディア(SNS)の発達などの影響で、高齢者の消費欲求は高まっている一方、購買力がそれに追いついていないため、『欲深型の窃盗』が増えている」と診断している。警察のプロファイラーだった又石(ウソク)大学警察行政学科のペ・サンフン教授は「寿命が延び、栄養状態が良くなったことで、高齢者も食べたいもの、欲しいものが明確な消費主体になっている」と話す。

 それにもかかわらず、高齢者の貧困は改善されておらず、欲求を満たすための犯罪につながっているというのが専門家たちの分析だ。経済協力開発機構(OECD)によると、韓国の高齢者の所得貧困率(相対的貧困率)は39.7%だとのことだ。これはOECD平均(14.8%)の2.7倍で、主要加盟国の中で1位だ。75歳以上の超高齢者の貧困率は54%にも上った。所得貧困率とは、所得が中央値(国内の世帯所得の中間値)の半分以下の人々の割合を意味する。

キム・ミンヒョク記者 , イ・ナユン記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • イラスト=キム・ヒョングク・ChatGPT
  • 万引き犯の3人に1人は高齢者…生計型から「欲深型」へ

right

あわせて読みたい