中国が、新疆・チベットの険しい国境から北朝鮮との国境都市・丹東を経て東・南部海岸まで、国土の輪郭に沿って走る約2万7000キロの「黄金循環道路」構築計画を発表した。地球の周囲(約4万キロ)の3分の2に達する長さのこの道路は、平時には観光客や貨物を運ぶが、戦争や国境紛争が起きれば兵力や重装備を輸送する軍事道路に変わる可能性がある。全国土を一つの巨大な輪で結び、物流と辺境統治、国防能力を同時に強化しようとする超大型国家プロジェクトだ。
中国交通運輸部(省に相当)は最近、国務院新聞弁公室のブリーフィングで、第15次5カ年計画期間である2026~2030年にG219・G331国境道路とG228海岸道路を全面的に連結すると表明した。交通運輸部の徐成光副部長(次官)は「三つの道路を連結し、中国の国境と海岸を貫く黄金大外郭循環を作る」とし、「観光や資源開発、国境の安定に活用する」と述べた。このため5年かけて、途切れた区間を繋ぎ、幅が狭かったり災害に弱かったりする区間を拡張する方式で、約7400キロを新設・改良する計画だ。
■砂漠・高原・氷河から海岸まで
黄金循環道路として連結される三つの道路のうち、G219は新疆のカナス(喀納斯)から広西チワン族自治区の東興まで約1万キロを走り、西部国境を縦断する。砂漠と永久凍土層を過ぎ、チベット高原やヒマラヤ山脈・横断山脈のような険地を通過する。G331は新疆のアルタイ(阿勒泰)から遼寧省の丹東まで約9200キロを繋ぎ、北部国境を横断する。G228は丹東からベトナムとの国境都市・東興まで約7400キロの海岸に沿って走る。
最も険しい工事区間は、G219の新疆の昭蘇-温宿道路だ。新疆の北部と南部を分ける天山山脈に近道を作る工事だ。全長237キロのうち、山脈を貫く西部天山トンネルだけでも15.7キロに達する。最も深い地点ではトンネルの上に山と氷河が2365メートルの厚さで積み重なっており、路線の地表の70%以上が氷河で覆われている。当局は、中国で初めて氷河の下を貫通する1級道路トンネルだと明らかにした。
2027年にこの区間が開通すれば、天山山脈のために隔てられていた新疆北部の伊寧と南部のアクス(阿克蘇)が直接連結される。今は山脈を大きく迂回するために1200キロを走らなければならないが、新しい道路を利用すれば距離が445キロに短縮される。
■戦時に活用可能な「国防安保線」
黄金循環道路には、辺境地域を中央の交通・物流体系内に引き入れようとする政治的な目的も込められている。中国はこれまで、北京などの内陸中心地から国境へと伸びる放射型の交通網を建設してきた。ここに国境と海岸に沿って走る外郭循環軸を追加すれば、遠く離れた辺境地域同士が直接結ばれることになる。チベットや新疆などの少数民族地域で行政力と経済的影響力を高め、辺境地域の住民を中国経済圏により強固に結びつけようとする意図も含まれていると解釈される。
経済的には、100カ所を超える国家級通商口(口岸)と主要な沿海港湾が一つの道路網で結ばれる。西側では中国・欧州間の貨物列車および東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国と構築した貿易通路である西部陸海新通路に繋がり、東側では遠洋海運網と連結される。これまで別々に動いていた国境物流と海上物流を連結し、輸出入経路を多角化して、特定の鉄道や港湾が塞がれた際の代替輸送路を確保しようとする構想だ。
軍事的な意味も大きい。北京交通大学の李紅昌教授は国営の中国中央テレビで、黄金循環道路を「国防安保線」と規定した。平時には民間車両や貨物を運ぶが、有事の際には兵力や重装備・軍需物資を輸送する二重用途のインフラに転換できるという意味だ。特定の道路や鉄道・港湾が攻撃や自然災害で機能を失っても、外郭循環道路を通じて兵力や物資を別の方向へ迂回輸送することができる。
中国はこの道路を世界的な自動車旅行コースにするという計画も打ち出した。G219では雪山や氷河・砂漠・高原を過ぎ、G331では内モンゴルの草原や白頭山(長白山)に出会うことができる。G228を走る間は沿岸都市が次々と続く。道路のあちこちに展望台やサービスエリア・キャンプ場・民宿施設を造成し、国境地域の観光や宿泊・外食産業も育成する計画だ。