スタンリー・キューブリック監督の映画『シャイニング』には、小説を書くために誰も来ない森の中のホテルに妻と息子だけを連れていった作家が登場する。猛吹雪にも見舞われ、外部との往来が完全に絶たれると、作家は大量の血でホテルが染まる恐ろしい幻覚を見始める。作家は自分の内面にばかり閉じこもっていくうちに、ついには精神的に破たんした状態に陥り、妻と息子を殺すことまで考えるようになる。映画の中で彼がとどまっている森の中のホテルは、孤立に屈した主人公の精神的破滅を招く空間だ。
米国の放送局PBSが数年前、孤立した空間で同じ任務を繰り返す航空母艦(空母)の水兵たちもこのような心理状態に陥るという内容のドキュメンタリーを放送した。水兵たちは海上で何か月も事実上、外部と隔離されたまま服務し、さまざまな精神的苦痛を経験する。窓のない甲板の下で交代勤務を繰り返すうちに時間の感覚がなくなり、バイオリズムが乱れ、不眠症やうつ病を訴える。出演者たちは「広大な海に浮かぶ鉄格子もない監獄で、脱出口を求めて海に飛び込むケースもある」と語った。
ニミッツ級の大型空母では、約5000人が1平方メートル当たり0.33人という超高密度な環境で24時間勤務している。孤独を感じないように見えるが、実はその逆だ。精神科の専門医に尋ねたところ、「かえって精神的にだけでも自分の空間を持とうと、心の壁を築く。このような状態が続くと感情の交流が断ち切られ、孤立を感じやすくなる」と語った。米の空母で負傷したり病気にかかったりした兵士たちを陸上の病院に搬送する「医療後送」のうち、最大で25%がパニック障害や自殺衝動のような精神的な理由によるものだ。
イラン情勢で中東に派遣されていた米空母エイブラハム・リンカーンの乗組員たちが精神的苦痛を訴えているという。昨年11月から9か月間、船で孤立したまま過ごすうちに深刻なほど士気が低下し、自殺を図る兵士もいた。「明日の朝、目が覚めなければいいのに」と言う兵士もいた。米海軍はエイブラハム・リンカーンに休暇を与え、代わりに空母ジョージ・ワシントンを派遣することにした。
ジョージ・ワシントンについて調べていたところ、思いがけない事実を知った。同空母の兵士たちも何度も精神的な問題を経験していたということだ。2022年4月には兵士3人が相次いで命を絶った。軍当局の調査では数百人がうつ病を訴え、状態が深刻な約200人には直ちに下船措置が取られた。米空母の兵士たちが経験している苦痛や苦労を見ていると、おのずと韓国の海を守っている韓国海軍兵士たちのことが思い浮かんだ。彼らが高い士気を保ちながら国防の義務を遂行できるよう、きめ細やかな支援がなされるよう望む。