ミシュランの星を獲得したイタリアのシェフたちが、韓国の海女を訪ねたことがある。バラエティ番組『ようこそ、韓国は初めて?』でのことだ。世界最高のシェフたちは、足ひれをつけても水の中でもがき、慌てふためく。一方、おばあさんの海女たちは何事もないように深い海に潜り、ホヤやサザエを引き揚げた。「海は鏡のようで、欲をかくとすぐに事故が起きます」。この日、彼らを魅了したのは食材の新鮮さよりも、海女たちの海に対する態度だった。
【写真】 済州・咸徳で海女像を抱き寄せて外国人男性がわいせつな行為をする様子
西洋の歴史において、海は征服と探検の対象だった。帰郷に10年かかったオデュッセウスから大航海時代の船員たちに至るまで、彼らは海を越えて宝物を探しに出かけた。一方、東アジアの海は暮らしと生計の基盤だ。その最前線に、酸素ボンベ一つ身に帯びることなく冷たい深海に潜る海女がいる。しばらくして水面に上がり、肺に残った最後の息を吐き出す。その生存の音を「スンビソリ(息継ぎの音)」と呼ぶ。
素潜りの漁労の伝統は、もちろん世界各地にある。しかし、済州の海女文化ならではの独自性がある。家父長社会において女性主導で強固な経済共同体を率いてきたという点だ。何よりも貪欲を警戒する。装備の力を借りず、海が回復できる分だけを採取する。また、熟練した海女は、体が弱った同僚や年配の先輩のために、水深の浅い海である「ハルマン・バダン(おばあさんの海)」を快く譲る。済州の海女文化は、この生態系への配慮と共同体連帯の価値が認められ、2016年にユネスコの無形文化遺産に登録された。
先日、米CNNは韓国の外国人海女、カイリー・ジェンターさん(Kylie Genter、36歳)の事情を集中的に取り上げた。ニューヨーク出身の彼女は、ネイティブ講師として韓国にやって来て、済州の海と海女文化に惚れ込んだという。2024年に海女学校を経て、西帰浦市のある漁村契(漁協)に正式に入団し、職業海女になった。海女学校を卒業した外国人はたまにいたが、現在、漁村契に所属して職業海女をしている外国人はジェンターさんが唯一だ。
韓国人の夫と結婚して済州定着10年目を迎えた彼女は「済州で暮らし、済州で死にたい」と語った。CNNが注目した点は、単に「珍しい外国人」ではなく、高齢化で消滅の危機に瀕している伝統共同体が外国人を包容する「共生の力」だった。私たちはよく伝統遺産を博物館の遺物のように考えがちだ。しかし、この若い米国人海女が与える教訓がある。単なる剥製にされた遺物ではなく、生きている共同体であり、持続可能な未来へのヒントになるかもしれないということだ。アメリカ人海女の「スンビソリ」が、断絶した韓国の漁村と世界を注意深くつないでいる。