ヒューマノイドの「ボクシング・ショー」はもう終わり…中国ではトースト焼いて家事

中国ロボット産業のキーワードは「家庭」

 19日、中国・北京の世界ロボット大会(WRC)展示場。ロボット関連企業約300社、そのうちヒューマノイド・ロボット企業が50社参加したこの展示場には、サンドイッチを作り、果物や野菜を洗うなど、台所仕事をするヒューマノイドで溢れていた。ヒューマノイド・ロボットメーカー「銀河通用機器人(Galbot)」のブースでは、ロボットが洗濯物を畳んでいた。キックボクシングをしたり、宙返りをしたりしていた以前の姿とは違い、日常生活で実用的なヒューマノイドをお披露目したのだ。

【動画】世界ヒューマノイドロボット運動会で400メートル走部門の優勝を果たした中国のロボット

 ヒューマノイドが展示場のあちこちで活躍したこの日、中国を代表するヒューマノイド・ロボットメーカー「宇樹科技(Unitree Robotics)」は上海のハイテク新興企業向け市場「科創板」への上場を果たした。上場初日の株価は取引時間中に629%も高騰し、時価総額は4449億元(約10兆5200億円)にまで上昇した。その後、株価はやや下がり、初日の公募価格比で460%高となる845元(約2万円)で取引を終えた。

 中国のロボットが世界のあちこちに進出している。市場調査会社スマート・アナリティクス・グローバルによると、中国のヒューマノイド企業は今年上半期、全世界のヒューマノイド・ロボット出荷台数の97%を占めているという。世界的金融グループのモルガン・スタンレーは「中国のヒューマノイド出荷台数は2025-30年に年平均106%ずつ増加するだろう」と言っている。つまり、毎年2倍ずつ増えるということだ。Unitreeが上場に成功したことで、中国のヒューマノイド企業の上場ラッシュが続くとの見方が出ている。

■ヒューマノイド市場の97%を占める中国企業…上場ラッシュ続く見込み

 19日、中国本土市場に汎用ロボット企業として初めて上場したUnitreeは、中国のヒューマノイド・ロボットメーカーを代表する企業だ。王興興最高経営責任者(CEO)が2016年に設立した。昨年の売上高は16億9900万元(約401億8300万円)と前年より4倍以上増え、純利益は2億7800万元(約65億7500万円)を上げた。昨年1年間だけでヒューマノイド5500台以上を出荷し、先月までに二足歩行ロボットを1万8000台販売した。

 Unitreeが一般に広く認識されたきっかけは、今年2月に放送された中国中央テレビの旧正月特番『春節晩会』だった。この番組でUnitreeのヒューマノイド十数台がヌンチャクを振り回し、酔拳を披露して、全世界の注目を集めた。Unitreeの真の強みは価格と量産能力にある。ヒューマノイド「R1」の販売価格を5900ドル(約94万円)にまで引き下げ、モーターや制御器などの主要部品を直接設計して原価を削減した。上場を二日後に控えた17日には、その場で2メートルジャンプし、秒速12.66メートルで走る新型ロボット「スーパーマン」を公開した。

 テック業界では、Unitreeの上場を「中国のヒューマノイドが世界市場に本格進出した瞬間」と見なしている。昨年までは宙返りやキックボクシングなど見世物が中心だった中国のロボットが、今や工場や家庭で実際に利用され、現場で速やかに適用できるようになったためだ。中国の「智元創新科技(AGIBOT)」は先月、香港市場での新規公開株(IPO)手続きに着手し、「楽聚機器人(LEJU Robotics)」は今年5月から深セン証券取引所の新興企業向け市場「創業板(チャイネクスト)」への上場を推進している。

 事実、この日の北京世界ロボット大会(WRC)では、Unitree、Galbotのほかに「優必選科技(UBTECH)」「自変量機器人(X Square)」などさまざまな中国企業が家庭や工場で働くヒューマノイドを披露した。Galbotのブースでは人の背丈と同じくらいの「G1」ヒューマノイドがトーストを焼き、UBTECHは工場用ロボットの全ラインをブースに設置して、実際にロボットが働く姿を見せた。LEJU Roboticsのロボットは箱の解体や部品供給といった作業を行った。ロイター通信は「中国のヒューマノイド産業の評価基準が、華麗なアクロバットから生産性や自律性、投資対効果へと移行している」と分析している。

北京= 李伐チャン(イ・ボルチャン)特派員 , アン・ビョル記者
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