中国半導体企業の「孫子の兵法」【朝鮮日報コラム】

 中国半導体大手・長鑫存儲技術(CXMT)の創業者、朱一明氏は2018年、「産業は小さなところから大きなところへ、弱いところから強いところへ向かう過程が必要だ」「最初から強敵と正面から張り合ってはならない」と語った。一見、サムスン電子とSKハイニックスが掌握しているDRAM市場に参入したばかりの後発企業による現実論のように聞こえる。しかし、8年たった今、考えてみると、これは「CXMTの『孫子の兵法』」だった。強いところを避けて持ちこたえられる時間を稼ぎ、相手の圧力さえも追撃の動力に変える戦術だったのだ。

【図】グローバル半導体市場シェア

 CXMTが明日すぐにサムスンやSKを追い抜く可能性は低いが、格差を縮めるシステムを完成させつつある点には警戒しなければならない。2022年に北京特派員の辞令を受けてソウルを離れる際、半導体企業の経営者たちと中国のメモリについて話したが、かろうじて話に出たのはNAND型フラッシュメモリ・メーカーの長江存儲科技(YMTC)だけだった。だが、それから4年で、韓国と米国の天下だったDRAM分野に中国の大物が登場した。CXMTの昨年の世界DRAMシェアは7.7%で4位になり、上海のハイテク新興企業向け市場「科創板」では先月、579億2000万元(約1兆3700億円)を調達して中国企業史上最大の公募記録を打ち立てた。アップルは中国販売用のiPhoneとMacBookにCXMTのメモリ搭載を試験中であり、HPとAcer(エイサー)も米国以外の一部の製品にCXMT製品を採用し始めた。

 CXMTは最初からサムスン・SKと真っ向から勝負しなかった。朱一明氏が先に設立した兆易創新(GigaDevice)は大企業が去ったNOR型フラッシュメモリで規模を拡大した。CXMTも2019年に汎用DRAMから出発し、昨年になってようやくプレミアム製品群に着手した。孫子の「避実撃虚(実を避けて虚を撃つ)」の通り、強いところを避けて手薄なところを突いたわけだ。

 この戦略は、国がCXMTに成長する時間を買ってやったからこそ可能だった。上場前の持ち分の53%を安徽省合肥市をはじめとする国有資本が保有しており、CXMTの最大の民間株主はアリババ・グループだった。グローバル企業各社が減産していた2023年に、CXMTは逆に工場・設備などに436億6000万元(約1兆330億円)を投資し、翌年にはその金額を712億3000万元(約1兆6850億円)に増やした。

 皮肉なことに、米国の制裁は中国半導体の技術蓄積へとつながった。極端紫外線(EUV)を確保できなかったCXMTは、旧型設備で半導体回路を複数回に分けて刻む方式で限界を遠ざけた。北方華創(NAURA)や中微半導体設備(AMEC)など中国の装置メーカーが急成長し、CXMTの増設は再び彼らに注文とデータを提供した。孫子の「因敵而制勝」、つまり相手の動きに合わせて勝利の条件を整えるという言葉が思い浮かぶ。

 孫子は「善戦者、求之於勢、不責於人」、つまり、善く戦う者は勝つことができる勢いを作る、と言った。CXMTはまだHBMや先端プロセス、歩留まり率でサムスン・SKに大きく後れを取っている。しかし、再び投資する資金と回し続ける生産ライン、完璧でない製品を買ってくれる顧客がいるならば、試行錯誤は結局、技術として蓄積されるのではないだろうか。CXMTの本当の脅威は、格差を縮める「勢い」を持っていることにある。

北京= 李伐チャン(イ・ボルチャン)特派員
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  • ▲4日、中国・上海の郊外で、建設が進められているCXMTの半導体工場。写真=聯合ニュース

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