済州島でこのほど、3日間のうちに行方不明者4人が相次いで遺体で発見された。チャン・ミランさん(37)は行方不明になってから104日後にヤシの木農場で発見された。済州島を代表する観光コースである「オルレキル」(トレッキングコース)のすぐそばだった。相次ぐ行方不明・死亡事件により、済州島の治安に対する不安が高まっている。済州島は犯罪率も10年連続で韓国1位だ。犯罪率とは、人口10万人あたりの犯罪発生件数を指す。韓国を代表するリゾート地である済州島が10年連続で犯罪率1位を記録した背景には、年間1300万人を超える観光客が訪れるという地域的な特性が影響しているとの分析がある。
【写真】済州市翰林邑水原里付近のソテツの森で、チャン・ミランさんと推定される遺体を発見
国家データ処が今年3月に発表した「2025 韓国の社会指標」によると、2024年の済州道における人口10万人あたりの犯罪発生件数は4540件で、韓国全国で最も多かった。2番目に多い全羅南道(3860件)より約18%多いだけでなく、全国平均(3343件)よりも1000件以上多かった。犯罪率が最も低い蔚山市(1727件)と比較すると2.6倍に達する。
済州島は2015年に犯罪件数5980件で1位になって以降、10年連続で1位を記録している。減少傾向を見せていた犯罪率は、2022年以降、増加に転じた。2021年に10万人あたり3943件だった犯罪件数は、2022年4074件、2023年4286件、2024年4540件と毎年増加している。
犯罪タイプ別に見ると、強盗が特に多く発生していることが調査で分かった。2024年は10万人あたり2.14件で、全国平均(0.9件)の2.4倍だった。性暴力犯罪(83.9件)と暴行・傷害犯罪(395.3件)も全国平均より多かった。また、住民が感じる安全度も低いことが調査で分かった。「国民の力」所属だった元国会議員の鄭宇沢(チョン・ウテク)氏が2023年に警察庁から入手した「2022年地域別体感安全度」という資料を見ると、済州警察庁の体感安全度の点数は74.9点で、全国18の地方警察庁の中で最も低かった。
済州島の犯罪率が高い理由について、専門家らは観光客など一時的な滞在者が多いという地域的な特性が影響していると分析している。済州島には年間1300万人を上回る観光客が訪れる。これは済州島の住民登録人口(66万人)の20倍以上だ。済州島には観光客だけでなく、同島の農漁村の暮らしが体験できる民泊プログラム「済州島1カ月生活」などで訪れる一時的な滞在者も多い。
漢拏大学観光経営学科のムン・ソンジョン教授は「犯罪率は、住民登録上の常住人口を分母に、地域で発生した犯罪件数を分子として計算する」「済州島は常住人口は少ないが、島外から来た観光客などの人口が非常に多いため、犯罪率が実際より高く反映されることがある」と言った。犯罪件数には島外から来た観光客が犯した犯罪も含まれる一方で、犯罪率を計算する人口には住民登録上の常住人口のみが使われているということだ。
建国大学警察学科のイ・ウンヒョク教授は「観光客など移動人口が多い地域は住民同士の社会的な連帯感が薄くなり、犯罪発生の可能性が高まる」と述べた。
外国人観光客が増えているのに伴い、外国人犯罪も増加傾向にある。済州警察庁によると、済州島で刑事事件として立件された外国人被疑者数は2021年505人、2022年516人、2023年535人、2024年610人と毎年増加している。警察関係者は「新型コロナウイルス収束以降、中国人観光客が増加した影響だと思われる」と言った。刑事事件で立件された外国人被疑者の67%は中国人だった。昨年2月、済州市内のある特級ホテルでは、40代の中国人観光客が別の中国人観光客を刃物で刺して殺害した後、現金やカジノチップなど8500万ウォン(約1000万円)相当を盗むという事件が発生した。警察は、2002年にノービザ(査証免除)制度が導入されて以降、外国人観光客と不法滞在者が増えていることも外国人犯罪の増加に影響を及ぼしていると見ている。ノービザ制度とは、外国人がビザなしで30日間済州島に滞在できる制度で、外国人観光客を誘致するために導入された。
山間部や海岸など、出動・捜索に時間がかかる場所が多い上、観光客などの一時的な滞在者まで考慮すると、治安の需要に比べて警察官が不足しているという指摘もある。済州警察庁の関係者は「人口に対する警察官の数は他の地域とほぼ同じだが、外国人観光客などの一時的な滞在者の人数を加えると、全国で業務量が最も多い地域だ」「外国人犯罪を専門的に扱う部署を新設して対応する必要がある」と語った。
チャン・ミランさんが遺体で発見されたヤシの木農場の周辺には、街灯や防犯カメラが設置されていなかった。