エベレスト登頂ルートの海抜8000メートル地点には、「デスゾーン(Death Zone)」と呼ばれる場所がある。多くの高山登山家がその区間で命を落とした。しかし、ある死は道しるべにもなる。北東稜登攀ルートの海抜約8500メートル付近には、数十年にわたり登山家たちの「道案内」の役割を果たしてきた蛍光黄緑色の登山靴を履いた遺体、いわゆる「グリーンブーツ」がある。また、北東稜8600メートルにある、「眠れる森の美女」という異名を持つ米国人女性登山家の遺体も広く知られている。長い間、氷の中に埋もれて登山家の羅針盤のような役割を果たしてきた彼らは、氷河が溶けることで姿を現した。
最近ネパールで発生した土石流もまた、地球温暖化の影響だ。人間の征服欲求は、自然の激しい復讐(ふくしゅう)の前に無惨にも打ち砕かれた。「世界の屋根」と呼ばれるヒマラヤの「デスゾーン」は過去数十年間、数百人もの遭難者が吐き出した最期の息を、そのまま氷の中に埋めた。ネパールの軍・警察とシェルパで構成されたクリーンアップチームが最近、一部の遺体を収容したが、彼らの作業は悲劇の終わりではなく、さらに大きな悲劇の始まりに過ぎなかった。
地球温暖化によって永久凍土層が溶け、氷の下に隠されていた死が世の中に姿を現している。それだけではない。上流地域では氷河が崩壊し、おびただしい量のゴミと忘れ去られた遺骸が流され、下流では山の斜面を削って作った道路が悲劇の舞台を広げている。強欲に目がくらんだ商業登山と無分別な開発により、ネパールは山頂の崩壊と渓谷の破壊という二重苦と戦っている。
このような上流・下流の危険は、結果的に、最近ネパールと中国の国境が接する南アジア地域を襲った凄惨な水害と土石流災害につながった。かつては永久に溶けないとされたヒマラヤの万年雪と氷河が急速に溶け落ちることで大規模な「氷河湖決壊洪水」を引き起こし、その余波で山の斜面が崩れ、大量の泥水と土砂が村を襲った。
人間が排出した二酸化炭素が、氷河の崩壊と大洪水という災難を引き起こし、数多くの命を奪っている。今振り返ってみれば、エベレストの氷の中から出てきた遺体は単なる遭難者の遺骸ではない。自然が人間に絶えず送ってきた冷たく恐ろしい警告だったと言える。
ヒマラヤは本来、人間の足が届かない神聖で静かな場所だった。そこに人間は幽霊のような道しるべを立てて征服を叫んだが、今や気候危機が溶かした氷河と土石流が覆った泥沼の中で、欲望の結末に向き合っている。自然の復讐だ。この事態は文字通り「氷山の一角」であり、今後も続くだろう。
ある死は道しるべになる。今も世界各地の氷河が溶け落ちている。温室効果ガスを減らし、地球温暖化を防ぐための人類共同の努力がなければ、ヒマラヤの涙は人類を飲み込む大きな災いとなって返ってくる可能性がある。