韓国政府が来年の導入を予告した「うちの子自立ファンド」をめぐり、熱い期待が寄せられると共に、懸念の声も上がっている。子どもが生まれた時から政府と親が一緒にコツコツとお金を貯め、成人した時に自立できるようにまとまったお金を用意してあげよう、というのが制度の趣旨だ。
毎年子どもたちが生まれ、資金が着実に市場に流入すれば、運用規模はいっそう大きくなる。数兆ウォン(数千億円)に達する巨大な長期投資金が新たに作られるということだ。
政府と親が一緒に積み立てる「人生の元手」が、名ばかりの政策実験にとどまらず、子どもの心強い自立基盤になるためには、投資対象と運用原則に関して綿密な設計が必要だ。
◇年200万ウォン投資し、19年後に7157万ウォン
来年新設される「うちの子自立ファンド」は、政府と親が子ども名義のファンドにお金を積み立てる方式になっている。政府は親の所得水準に応じて毎年100万~120万ウォン(約12~14万円)を支援する。
ただし、支援対象は中位所得150%以下の世帯に制限される。2027年基準で4人家族の中位所得150%は月1039万4828ウォン(約121万円1300円)であり、月所得が約1040万ウォン(約121万円1900円)を超える4人家族は政府の支援対象から除外される。
金融委員会が公開したシナリオによると、親と政府が毎月約16万7000ウォン(約1万9000円)ずつ、年間200万ウォン(約23万3000円)を19年間積み立てれば、満期の積立額は7157万ウォン(約834万円)に達する。これは長期間安定して年6%の収益率を上げるという仮定に基づく推定値だ。
中位所得50%以下の世帯なら、親がお金を補わなくても政府から毎年120万ウォン(約14万円)ずつ受け取ることができる。このお金を年6%の収益率で19年間運用すれば、満期の積立額は4294万ウォン(約500万円)に達する。子どもが成人した後、大学の学費や起業資金などとして活用できるまとまったお金が用意できるというわけだ。
◇「うちの子自立ファンド」の成否 商品とコストがカギ
「うちの子自立ファンド」の収益率(年6%)は、預貯金や債券運用では達成しにくい。ハンファ投資証券PLUS資産戦略チームのパク・スンヨン・チーム長は「KOSPI(韓国総合株価指数)は長期的には年平均8%の収益率を記録してきたので、政府が提示した年6%は目標収益率達成のため韓国株に投資する方法としても十分に考慮に値する」と述べた。
では、韓国版「うちの子自立ファンド」の基本投資商品には何が適しているだろうか。有力候補は、韓国を代表する指数であるKOSPI 200に連動する上場投資信託(ETF)だ。
2002年に上場したサムスン資産運用の「KODEX 200」は、KOSPI 200に連動する代表的なETFだ。純資産25兆ウォン(2兆9130億円)で、韓国を代表するETFの中で最も大きい。上場以降の収益率は8月現在で2000%を大きく上回っている。
ただし、総報酬は年0.15%と比較的高い。手数料の違いは短期的には小さく見えるが、長期投資においては複利効果を考えると無視できない。
一方、韓国にのみ投資するよりも、国民年金のように海外に分散投資するほうが望ましい、という意見もある。純粋に長期間で資産を増やすことが目的であるなら、韓国にのみ投資するよりも米国など海外市場へ分散する案も検討する必要がある、という指摘だ。
パク・スンヨン・チーム長は「長期投資という点を考えれば、韓国株と米国株を適切に混ぜ、一部はベンチャー投資などの成長資産に分散するやり方も可能だろう」「国内資本市場の育成という政策目標と、投資収益率の向上という目的を共に考慮したポートフォリオが必要だ」とも言った。
◇米では新生児にS&P 500 ETFをプレゼント
韓国よりも先に、今年7月から「トランプ口座」という長期資産形成口座を導入した米国の事例を参考にする必要もある。米政府は、2025~28年に生まれた米国市民権者の子どもの口座に1000ドル(約15万6000円)を一度振り込み、株式市場に自動投資されるように設計した。
米政府は、積立額がS&P 500指数に連動する超低コストの上場投資信託(ETF)に投資されるよう設計した。基本として設定された投資商品はステート・ストリートの「SPYM」だ。S&P 500にそのまま連動しつつ、コストが0.02%と非常に低い。米財務省は追加で、IVV、VTI、SPTM、ITOTなど低コストのインデックスETF 4つも投資対象に選定した。すべて米国の株式市場全体または広範な指数に連動する商品だ。