韓国電力(韓電)がサムスン電子とSKハイニックスに25兆ウォン(現在のレートで約2兆9000億円。以下同じ)相当の5年分の電気料金先納を提案し、米商務長官は「アメリカに工場を建設しなければ半導体に標的関税を課す」と圧力をかけ始めた。加えて、雇用労働部(省に相当)が提示した「黄色い封筒法(労働組合法改正案)」の施行指針すらも、「半導体工場の新設自体は労働争議の対象ではないが、人員の転換配置はストライキの対象になり得る」という基準を提示し、現場の混乱を大きくさせることになった。韓国経済の支えである半導体産業が、内ではインフラ建設の負担転嫁と法的不確実性が増し、外では露骨な通商圧力が押し寄せ、「サンドバッグ」のような境遇に転落している―というのが現在の実態だ。
韓国政府はこれまで、半導体クラスターの構築に必要な電力と用水の供給に支障はないと豪語してきた。しかし、210兆ウォン(約24兆円)の負債により1日の利息だけで115億ウォン(約13億円)を払う韓電が、送配電網建設の財源確保に苦しみ、企業に「5年分の料金先納」という奇想天外な要求をしたのは、国家の正常な産業支援ではない。助けてやっても足りない状況で、公企業の財政危機を埋める手段として半導体企業のポケットを活用しようとしているのではないか。
韓国政府の曖昧な行政指針は、企業の不確実性をさらに大きくしている。工場新設と従業員の移動をスパッと切り離すことができない現実を無視したまま無理な基準を適用したせいで、財界から「これほど不確実では誰が大規模投資をするだろうか」と反発が起きている。外部から押し寄せる通商圧力はさらに強度を増している。米商務長官まで乗り出して事実上の自国投資を強要する関税爆弾を予告しているのに、青瓦台(大統領府)は「確定した事項はなく、不利益がないよう協議する」という原則論的な釈明を出すだけ、という状況だ。
グローバル半導体市場は、各国政府が天文学的な補助金をばらまいて死活をかけている激戦地だ。韓国は基本インフラの建設すら企業資金に依存し、経営権の核心である投資や人員配置まで労働争議の人質として差し出す構造に置かれている。韓国政府は、政策の歩みの食い違いを直ちに正し、制度的・外交的防護幕をしっかりと構築しなければならない。半導体は、誰も彼もがスプーンを乗せて自分の取り分を確保しようとする祝宴の膳ではなく、国家が必死に守らなければならない生存ラインなのだ。