最近、韓国首都圏のある製造業の中堅企業における新入社員面接日でのこと。ある志望者の母親が会社を訪ねてきた。その女性は面接会場にいる面接担当者たちの手を次々と握り、「うちの子は人見知りをするので、圧迫質問は減らして優しくしてほしい」と頼み込んだ。それとは無関係に、その志望者は最終合格して部署への配属を終えた。ところがしばらくして、人事チームに再びその母親から電話がかかってきた。「うちの子の部署の業務はきつすぎるように見えるので、別のチームに変えてほしい」という要請だった。
【図】「ヘリコプターペアレント」は子どもの職場生活にどの程度関与しているのか
また別の中堅企業の人事チーム長は先日、「代理の退職通知」を受けた。無断欠勤した新入社員の母親が翌日に電話してきて、「うちの子が昨日退勤した後、会社が殺伐としていて通いたくないと泣いた」とし、「今日から出勤しないので辞職処理をして、うちの子の席に置いてあるタンブラーとカーディガンは着払いの宅配便で送ってほしい」と言った。
子どもの周囲をヘリコプターのように旋回するという意味の「ヘリコプターペアレント」は、2000年代初め、子どもの学校生活に過度に介入する親を指す言葉として流行した。この過保護が今や学校の塀を越え、職場まで飛んできている。Z世代(1990年代後半-2000年代生まれ)の社会進出と相まっての現象だ。
本紙と大韓商工会議所が8月19日から21日にかけて、企業の人事担当者429人を対象に共同でアンケート調査を行った結果、「社員の職場生活に関連して、家族から電話やメールなどで連絡を受けたことがある」という回答が57.1%に達した。連絡してきた家族は親が65.3%(母親43.7%、父親21.6%)で最も多く、配偶者(26.9%)や兄弟・姉妹(6.5%)もいた。
■採用への介入から会食への抗議まで
親の介入は入社前から始まる。今年初め、ある製造業の中小企業の人事担当者は、採用手続きの途中で志望者の母親から電話を受けた。志望者の代わりに面接日程などを尋ねる内容だった。当該志望者は不採用になった。ところが、当落発表があった日、その母親から電話がかかってきた。「うちの子が落ちた理由を明らかにしろ」という要求だった。アンケートに応じた企業の人事担当者の4人に1人(24.9%)は、「志望者の家族が採用過程に介入したのを見た」と答えた。
入社後は介入の範囲がさらに広がる。アンケートに応じた人事担当者たちは、「社員自身が辞表を出したのに、家族が連絡してきて『なぜ退職を止めなかったのか』と問い詰められ困った」「上司と対立があった社員が親を連れてきて一緒に問い詰めてきた」という経験を伝えた。「新入社員の会食の翌日、父親が訪ねてきて『うちの子に酒を飲ませるな』と抗議した」というケースもあった。先ほどの面接会場に現れた母親の事例を経験した企業の人事チーム課長は、「このような親と新入社員が、我が社に現れるとは驚きだった」としつつ、「その社員が自立した社会人として成長できるか、正直心配だ」と語った。
■米国のZ世代の20%「親と一緒に面接」
これは韓国だけの問題ではない。米国のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)も最近、「ヘリコプターペアレントたちがZ世代の子供の職場生活に全面介入している」と報じた。米国のオンライン履歴書プラットフォーム「Zety(ゼティ)」が今年2月にZ世代1000人を対象にアンケート調査した結果、「就職面接に親と一緒に参加した経験がある」という回答が20%だった。ドイツでは、子供の行く手の障害物をあらかじめ掃いてあげるという意味の「カーリングペアレント」が社会問題として浮上した。世論調査機関のYouGovドイツなどが2024年にZ世代の求職者を対象にアンケート調査した結果、「親や恋人、友人などと面接に同行したことがある」という回答が41%に達した。
専門家たちは、この現象が一種の「先進国病」のように現れていると分析する。世界的に住居費や物価が高騰し、若年層が自力で親から経済的に完全に独立することが難しくなり、その結果、親と子が心理的・物理的に過度に密着した状態が続いているというのだ。慶北大学心理学科のキム・ジホ教授は「親が時間とお金を投資してこそ、子どもの良い成績と上位圏の大学進学につなげることができる―という行動パターンが強くなり、実際にその効果が立証されている」とし、「職場までこのようなパターンが広がっているようだ」と述べた。
本紙のアンケートに応じた企業の人事担当者の大多数(85.5%)は、「家族の介入が社内の評価に否定的な影響を与える」と答えた。ある大企業の人事担当役員は、「親が介入した瞬間、独立心やコミュニケーション・問題解決能力が不足している組織員だと判断せざるを得ず、実際にもそのようなケースが大部分だ」「このような社員の相当数が、組織不適応者になったり退職したりしがち」と語った。