北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記の娘キム・ジュエ氏が事実上、後継者として内定段階にあるという分析が出ている中、キム・ジュエ氏の特権的な歩みを見つめる北朝鮮の若者たちの間で反感が強まっている、と主張する声が上がっている。金正恩総書記が幼い娘を早い段階から後継構図の前面に押し出したのは、自分が十分な後継者教育を受けられないまま権力を継承した経験が影響しているという分析もある。
【写真】高級「カルティエ」の時計と「クリスチャン・ディオール」のコートを身につけたキム・ジュエ氏
北朝鮮軍の将校出身の脱北者リュ・ソンヒョン氏は13日、ユーチューブ・チャンネル「チョ・ハンボムTV」に出演し、「北朝鮮の(ミレニアル+Z)世代もキム・ジュエ氏を注視している」とした上で「彼らは反抗心がすさまじい」と語った。
キム・ジュエ氏は2022年11月、大陸間弾道ミサイル(ICBM)試験発射の現場に初めて公に登場して以来、軍事・政治的なイベントなどに相次いで姿を現してきた。国家情報院は今年2月、キム・ジュエ氏が後継者として「内定段階」に入ったと判断した。軍関連イベントへの出席や錦繍山太陽宮殿への参拝、現地視察の過程で一部の施策について意見を述べる状況などを根拠に挙げた。
リュ・ソンヒョン氏は「最初は金正恩の娘が父親について回る程度だと思っていたが、今は後継者でなければ不可能なレベルまで行った」と主張した。
特に、キム・ジュエ氏の華やかな服装が、同世代の北朝鮮の若者たちの相対的剥奪感を高める可能性があると見ている。キム・ジュエ氏は公の場で高価な時計やサングラス、衣装などを着用した姿が何度もカメラにキャッチされてきた。今年6月、新義州の温室農場視察時に身に着けていた時計はおよそ3000万ウォン(約340万円)のCartierのアイテムと推定され、2023年にはおよそ370万ウォン相当のChristian Diorのコートを着用していた。
リュ・ソンヒョン氏は「(自分たちは)毎日畑に出て草むしりをして労働に参加しているのに、同じような年齢の子がサングラスをかけて飛行場を歩き回っていると、同世代の男女は非常に腹が立つ」と語った。
それでは金正恩総書記はなぜ、幼いキム・ジュエ氏を急いで後継構図の前面に押し出しているのだろうか。
李永鐘(イ・ヨンジョン)韓国国家戦略研究院北韓研究センター長は14日、ユーチューブ・チャンネル「分かりやすく教えてくれるTV」(@scoopknowledge)で、金正恩総書記自身の経験が影響を与えた可能性を提起した。
李永鐘センター長は「金正恩は、父親の金正日(キム・ジョンイル)が後継を急がなかったせいで、わずか3年でまともな後継者教育も受けられないまま、27歳で権力を握った」とした上で「自分の子どもたちにも世襲すると心に決めたなら、『一刻も早く後継者教育をして、そのような苦しい状況を引き継がせないようにしなければならない』と決心したはずだ、と国家情報院は判断している」と述べた。
金正恩総書記は2010年9月に朝鮮労働党中央軍事委員会副委員長に任命され、後継者として公式化されたが、翌年12月に金正日総書記が亡くなり、比較的短い後継者教育を経て、権力を引き継いだ。その後、叔父の張成沢(チャン・ソンテク)氏を処刑するなど、権力の基盤を固める過程を経てきた。
なお、金日成(キム・イルソン)主席は1974年に金正日総書記を後継者として内定した後、1994年に亡くなるまで、およそ20年にわたり後継者教育を受けさせた。
李永鐘センター長は「13歳の小さな子どもを国家クラスのイベントでVIP対応までして持ち上げるのは、親ばかな父親の娘自慢のレベルではない」とし、キム・ジュエ氏の相次ぐ公の場での歩みを、長期的な権力継承を準備する過程と分析した。