トランプの「ヘルプ・ミー」 李在明の「ノー・サンキュー」【朝鮮日報コラム】

 トランプ米大統領は膠着(こうちゃく)状態に陥っているイラン攻撃について、韓国に手助けしてくれるよう打診した際、「李在明(イ・ジェミョン)大統領に『ノー・サンキュー』と言われた」と8月16日(現地時間)に語った。李大統領は、そのように簡単に言い切って拒絶すべきではなかった。今すぐ参戦するまでには至らずとも、少なくともどのような形であれ「考慮する」という前向きな言葉で余韻を残した方が良かったはずだ。米大統領の口から「きっぱりと断られた」かのような表現を出させたのは、外交的にも未熟なやり方だった。

【写真】韓国の李在明大統領、米国のトランプ大統領に無窮花大勲章を授与

 韓国がイラン攻撃に参加した場合、国際的な立ち位置がどうなるか分からないで言っているわけではない。世界中が、いや米国においてすら「望ましくないトランプの蛮勇」という極端な評価が下されている攻撃に、韓国が今さら足を踏み入れるのは望ましくない、という意見もある。だが、そうした否定的な評価と、窮地に陥っている米国を助けることが持つ意味をはかりにかけ、推し量ることが重要だ。それこそが指導者の難しさであり、力量なのだ。困難な時に米国を助けるということは、少なくとも報恩の意味を知る民族の徳目である。

 国益という実利の面でもそうだ。海外派兵や参戦の歴史を振り返ると、韓国はそれをテコにして大きく成長してきたことが分かる。ベトナム派兵により韓国は一段階、いや数段階飛躍した。経済・外交・国防面で産業化やグローバル化の基盤が整った。2003年のイラク派兵も、韓国と米国に強い絆ができた。左派である盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領=当時=の決断により、韓国は派兵はしても被害は最小限に抑えるという、極めて経済的な派兵の記録を残した。当時も韓国国内の反対は激しかった。しかし、失うものと得るもの(あるいは得たもの)をはかりにかけた盧武鉉大統領の決定は、済州海軍基地の建設と共に同大統領のプラス面の記録として残っている。

 トランプ大統領は今回のイラン攻撃参加問題を巡り、韓国に対してひどく気分を害している。トランプ大統領はことあるごとに韓国に難癖をつけてきたし、これからもそうするだろう。そのため、韓国の問題が出るたびに北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記を引き合いに出し、韓国と比較対照しているのだ。韓国としては、任期があと2年となったトランプ時代が早く終わることを願うのが上策だろう。だが、その余韻は消えない。

 国際関係において、その「国」と、その国の「執権者」を別の次元に置いて扱ってはならない。米国民も、自分たちはトランプを批判しながらも、他国が自国の大統領を悪く言うことは快く思わない。韓国がイラン攻撃で窮地に陥っている米国にそっぽを向くことと、米国人がトランプ大統領を批判することを、同じ大きさとして計算してはならないということだ。将来、米国あるいは米国民は「イラン攻撃の時に韓国は米国の支援要請を拒絶した」と記憶するのであって、「李なんとか大統領がノー・サンキューと言った」という記憶は残らない。歴史は「米国がイランを攻撃した時、約70年前に助けてやった韓国に助けを求めたが、韓国はそれを断った」と記録するようになっているのだ。

 まさに世界は80年間にわたる冷戦体制が終わり、新たな再編に突入した。専門家らは第三次世界大戦を予告している。これまで世界は数々の局地戦に苦しめられてきた。ウクライナ、イスラエルとレバノン、中国・インド、イランなどの地域で紛争がすでに戦争化しており、台湾や韓半島(朝鮮半島)などの地域では衝突の気配が広がっている。すでに発生していてもおかしくない大規模な戦争は、核の恐ろしさや危険性のためにブレーキがかかっているに過ぎない。この堤防はいつ決壊するか分からない。戦争とはすなわち誰がどっちの味方に付くかの争いだ。だからこそ、世界は新たな味方作りに没頭している。ロシア・中国・北朝鮮などが一陣営として結束している一方で、米国陣営は北大西洋条約機構(NATO)などの地域で分裂しつつある。さらに、トランプ大統領が欲を出して触発された帝国主義的な領土の奪い合いも加わった。これらすべてがいつ一つの塊、すなわち大戦として爆発するか分からないほどの状況だ。

 こうした状況において、韓国が立つべき位置はどちらなのか。韓国を守るため、どちらの側に立つべきなのか。誰と組むのかを強要されざるを得ない。中途半端に自主や中立・中間をうたう勢力は、どちらの側からも守られずに、押し流されていってしまいかねない。米国と仲たがいしてはならない。韓米合同演習をしないからといって、すぐに武装解除されるわけではないが、それはすなわち精神の解除へと移行していくというのがサバイバル世界における法則だ。

 ところが、現在の左派政権はひたすら雪解けムードへと向かっている。知ってか知らずか前方部隊の銃から実弾を抜き、ドローン(無人機)を飛ばしたといって責任を問い、自主国防に心酔して訓練をしなくてもOKだという。突然、陸海空の士官学校を統合するだの、韓国の軍事力は世界第5位だのと言い出し、まるで強大国にでもなったかのように自画自賛した。何よりも深刻で恐ろしいのは、(尹錫悦〈ユン・ソンニョル〉前大統領による)内乱(に協力したこと)に対する断罪だと称して「命令に生き、命令に死ぬ」韓国軍に対してまるで反体制勢力であるかのような烙印(らくいん)を押してしまうのではないか、という懸念だ。もしかすると、李大統領の「ノー・サンキュー」が過去70年余りにわたって続いてきた韓米関係に重大かつ深刻な転換点をもたらすのではないかと憂慮している。

金大中(キム・デジュン)コラムニスト
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  • ▲7月8日、トルコのアンカラで開催された北大西洋条約機構(NATO)首脳会合で会談した李在明大統領とトランプ米大統領。/news 1

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