考えれば考えるほどあきれる韓国の基礎年金改革「頓挫」【朝鮮日報コラム】

 韓国政府が基礎年金改革案を発表してから2週間が過ぎたが、理解に苦しむ点は一つや二つではない。新たに打ち出された案は、基礎年金を受け取る基準をそのまま維持しながらも、来年には所得下位30%に今年より3万ウォン(約3,400円)多く支給するという内容だ。修正すべき核心である、ある程度余裕のある人にも基礎年金を支給する問題には手をつけられなかったのだ。

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 これまでの李在明(イ・ジェミョン)大統領や鄭銀敬(チョン・ウンギョン)保健福祉長官の発言は、合理的な水準で基礎年金改革が行われるのではないかという期待を抱かせるものだった。李大統領は今年1月20日の国務会議(閣議)で、「月収250万ウォン(約28万円、所得認定額であるため、実際の所得は2倍近い人も受け取れる)の人が34万ウォン(約3万8,000円)受け取るのはちょっとおかしい」「財政負担は年間で何兆ウォン(数千億円)も増えるなんて、正しいことだろうか」と述べた。所得下位70%に一律支給しているがゆえに生じる、余裕のある65歳以上の高齢者にも税金で基礎年金が支給されるという問題を的確に指摘したのだ。その上で、李大統領は「必要であれば『下厚上薄』(所得下位の人に手厚く、上位の人には少なく支給する)方式にしなければならない」とも語った。支給基準と「下厚上薄」への改革に同時に言及したのだ。

 これに対し、鄭銀敬長官は7月16日に李大統領も出席した青瓦台(大統領府)の業務報告で、「『下厚上薄』の原則は決まっており、選定基準を基準中位所得に変更する方向で改革案を作成している」と述べた。KDI(韓国開発研究院)、国民年金研究院、保健社会研究院など多くの研究機関や専門家たちが提示した改革案でもある。李大統領はこれについて特に言及しなかった。鄭銀敬長官はその後も何度か国会やメディアを通じてこうした見解を表明した。

 ところがその後も、保健福祉部が数回にわたり基礎年金改革案の中間報告を上げたものの、青瓦台はこれといった反応を示さなかったという。来年度の国費予算だけでも25兆7,000億ウォン(約2兆9,000億円)にのぼる韓国最大の福祉事業に、あまり関心がないのだろうか。保健福祉部はこれについて、選定基準を基準中位所得に改めることに対する肯定的なシグナルとして受け止めたという。朴洪根(パク・ホングン)企画予算処長官も7月末に基礎年金基準を基準中位所得に変更すると発言したことから見ると、省庁間の調整まで終えていたようだ。しかし、保健福祉部は先月27日午後2時に予告していた基礎年金改革案の説明会を1時間前に突如中止した。そして、先月1日に発表された最終案は選定基準を従来通り維持する案だった。

 結局、青瓦台が心変わりしたということになるが、なぜそうしたのか理由の説明すらない。他の懸案とは異なり、基礎年金改革については、これと言った反対の声が上がったこともなかった。このため、「李大統領の支持率が30%台に落ち込んでいるのを受け、中高年層の票を意識したのではないか」という憶測ばかりが飛び交っている。押し切られて仕方なくやると言ったわけでもなく、自ら「おかしい」と言い、推進するよう指示しておきながら、このように虚しくも台無しにした例がほかにあっただろうか…と思ってしまう。

 数日前に李大統領が会談したフランスのマクロン大統領は、大きな政治的負担と社会的反発を甘受しながらも年金改革をやり遂げた。李大統領は基礎年金改革を行ったとしても、直ちに政治的損失が生じる状況でもなかった。むしろ財政負担を減らし、必要としている65歳以上の高齢者を手厚く支援する改革であれば、拍手喝采を浴びる可能性が高かった。

 このように虚しく頓挫させてしまうようなことがあってはならない。今回の案が大統領の指示後、比較的短期間のうちになされ、専門家の話し合いなど社会的に十分な協議がなかったのは事実だ。だが、今回の基礎年金の発表は1年限りのものだ。来年以降どうするかは決まっていない。

 つまり、今後1年ほど議論する時間を確保したわけだ。方向性は明確だ。選定基準をどのように変更しようとも、余裕のある65歳以上は受給しない方向に舵を切る必要がある。効果が順を追って徐々に現れるよう設計するなど、副作用はもちろん政治的な反発も最小限に抑える方策はいくらでもある。

キム・ミンチョル記者
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  • ▲基礎年金の「下厚上薄」型改革案の発表を控えた先月26日、ソウルの国民年金公団ソウル北部地域本部の総合相談室を訪れ、職員と相談する人。/聯合ニュース

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