ポスコが来月7日、李在明(イ・ジェミョン)大統領主宰のグリーン転換(GX)国民報告会で「民間企業の原発投資を許可してほしい」と要請する方針だという。28日に分かった。原発建設に資金を拠出する代わりに、安価な電気を長期間供給してもらうというものだ。ポスコは、原発運営業者である韓国水力原子力と合弁法人を設立する方策を、韓国政府と話し合っていると伝えられている。
ポスコは、鉄鉱石から鉄を抽出する際に石炭の代わりに水素を使う、環境に優しい水素還元製鉄の導入を推進している。水を電気分解して水素を作り、還元された鉄を溶かすのに莫大な電力を必要とする。業界によると、年間生産量250万トン規模の水素還元製鉄設備1基には1.7ギガワット(GW)の電力が必要だという。ポスコの2025年の国内鉄鋼生産量3450万トンをすべて水素還元製鉄に転換した場合に必要な電力規模は24ギガワットで、大型原発約17基分の設備容量に相当する。
現在、ポスコは製鉄過程で発生する副生ガスを活用し、必要な電力の約90%を自社生産している。年間電気料金も5000億ウォン(現在のレートで約579億円。以下同じ)水準だ。しかし、水素還元製鉄に転換したら石炭の使用が減って副生ガス発電が減少し、水素生産と製鉄工程に必要な外部電力の購入量が急増する。ポスコの社内では、年間の電気料金が現行の10倍である5兆ウォン(約5790億円)まで膨れ上がると推算していると伝えられている。
ポスコは、発電量が不規則な太陽光や風力だけでは24時間稼働する製鉄所に電力を安定的に供給することは困難だと見ている。これに伴い、大型の新設原発だけでなく小型モジュール炉(SMR)への投資も韓国政府に建議した。ポスコの建議が受け入れられれば、半導体や石油化学など電力消費が多い他の産業へも民間原発投資の要求が広がる可能性がある。ポスコは28日、サムスン電子の社長クラスの関係者らと会い、民間原発投資の方策を協議したと伝えられている。
ポスコは、李在明政権が発足した昨年6月から現在まで1年以上にわたり、韓国政府に様々な形態の原発民間投資のアイデアを伝えてきたとされる。停止状態にある月城1号機の改修・保守費用を企業が負担する代わりに、再稼働した原発の電力を長期購入するという案が代表的だ。しかし、韓国政府が安全性問題に難色を示したため、ポスコは民間投資型の大型原発やSMRなどに提案の範囲を広げた。
ただし、原発投資が実質的な電気料金の引き下げにつながるには、電力取引制度も併せて変わらなければならない。現在は、企業が原発の電力を定められた価格で長期間購入できる制度的装置がない。チョ・ヨンタク前電力取引所理事長は「ポスコは中国の安価な鉄鋼と競争する状況において、安価な無炭素電力を確保できなければ脱炭素転換後に価格競争力を維持することが難しい、という切実さがあるのだろう」とし、「大規模な電力需要企業が必要な電源を直接確保できる道を開いてやる必要がある」と述べた。