9月30日に開かれた韓国国会情報委員会の非公開全体会議では、北朝鮮軍捕虜の送還を巡る韓国とウクライナの「非公開合意」の有無も焦点となった。保守系最大野党「国民の力」所属で情報委の幹事を務める柳栄夏(ユ・ヨンハ)議員は会議後のブリーフィングで、国家情報院(韓国の情報機関。国情院)が「双方は捕虜協議の開始段階から対外的に非公開で進めるとの共通認識の下で議論を進めた」としつつも、「両国首脳間の非公開協議や合意はなかった」と明らかにした―と伝えた。また、ウクライナ側がロシアとの捕虜交換交渉に及ぼす影響を懸念し、「先制的に非公開を要請した」とも明かした。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は9月23日(現地時間)、国連総会での演説で、北朝鮮軍捕虜2人の韓国送還を初めて公表した。韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領が、「ウクライナが非公開合意を破って公表した」として遺憾の意を示すと、ウクライナ大統領府関係者は「そのような合意はなかった」と述べた。韓国大統領府は「虚偽の公報に強い遺憾」を表明し、公式の説明と謝罪を求めたが、ウクライナの高官は外国メディアに「大統領レベルで捕虜送還の事実を公表しないとする合意はなかった」と述べた。
こうした中、「両国首脳間の非公開協議や合意はなかった」との報道が出ると、国情院は同日午後、メディアに「正確な事実関係をお知らせする」とし、「国情院は『首脳間の合意の有無は分からないが、両国外相間の電話会談、現地大使館とウクライナ外務省との協議など、複数のルートを通じて非公開合意があった』と答弁した」と説明した。なお、ウクライナ側は現在まで韓国政府に遺憾や謝罪の表明はしていないと伝えられている。
国情院は、北朝鮮軍捕虜2人の健康状態について「大きな問題はない」と情報委に報告した。2人のうち1人は今後治療を受ける可能性があるが、現在痛みは訴えていないという。国情院は捕虜らの亡命意思を複数回確認しており、彼らが9月中旬に韓国入りしたと報告した。
国情院はまた、「捕虜送還に関連してウクライナが条件を付けたことも、韓国政府によるいかなる支援もなかった」と報告したという。ウクライナ側が送還の事実を公表した理由について、国情院は「『韓国側で武器などさまざまな支援を行うべきだという世論が起きるのではないか』との期待があったのだろう」と分析した。