飢えたクマが世界各地で民家を襲っている。クマによる死者も大幅に増え、各国政府は駆除を含む対策作りに苦慮している。
ロシア政府は先月30日、ヒグマの個体数調整策を打ち出した。モスクワ・タイムズによると、今年4-9月にロシア全土でヒグマに襲われて死亡した人は22人に上る。ロシアに生息するヒグマは過去30年間で2倍に増え、約30万8000頭と推定されている。ロシアのドミトリー・パトルシェフ副首相は「人と動物が安全に共存しながら適正な水準の均衡を維持するための制度的対策が必要だ」と述べ、ヒグマ猟の制限を緩和する案を検討していると明かした。駆除によって個体数を調整するということだ。
先月、米コロラド州ではクロクマが民家に侵入する事件が起きた。コロラド州公園・野生生物局(Colorado Parks and Wildlife / CPW)によると、クマは未明に窓枠を壊して部屋に入った。部屋で寝ていた17歳の少女が悲鳴を上げると、クマは少女を引っかき、前脚で腹をたたいた後、逃げた。9月26日、同じくコロラド州で開かれた農産物市場(Colorado farmers’ market)では、別のクロクマがテーブルに並べられていたパンをつかんで食べ、木の上に逃げるという事件もあった。
クマと人との接触が増えた原因として、地球温暖化が指摘されている。冬が短くなり、平均気温も上昇したことでクマの冬眠期間が短くなり、より多くのエネルギーを必要とするクマが餌を求めて民家にやってくるという分析だ。干ばつや伐採で森林が縮小し、新たなすみかを探すクマが山を下りてくることもある。
日本も、民家にやって来るクマとの闘いを繰り広げている。先月29日、北海道美深町では、子グマを連れた雌のヒグマが夜道を走る車の前に突進し、大事故につながりかねない事態となった。今年6月には栃木県宇都宮市で、市街地の住宅街を歩き回る雄のツキノワグマが見つかり、小中学校約100校が三日間休校し、校内行事を延期した。山や展望台付近を観光していた外国人旅行者がクマに襲われ、救助を要請するケースも相次いでいる。日本の環境省によると、今年に入って8月末までにクマにより6人が死亡し、60人がけがをした。
日本政府は昨年、クマの出没による死者が統計開始以来最多の13人に上ったことを受け、民家にやって来たクマを銃器で駆除できるよう制度を見直した。変更後の制度に基づき、昨年4月から今年1月までにクマ1万4000頭が捕殺された。今年6月に日本政府が公表した環境白書には、クマが「公共の安全と平穏に対する深刻な脅威となった」と記された。
今年6月、福島市では4人にけがをさせたツキノワグマ1頭が工場に逃げ込み、自ら窓の鍵を開け、水道の蛇口まで開けたまま逃げた。福島市は「クマは非常に知能が高い」として懸念を示した。クマ研究の権威である北海道大学獣医学研究院の坪田敏男教授はジャパンタイムズに対し、「クマは次第に、人間は怖い存在だという認識を失い、人里に下りてきている」と語った。毎日新聞は先月29日、「秋はクマの動きが活発になる危険な季節だ」とし、各自治体が対応策を準備していると伝えた。