657人死亡した「兄弟福祉院事件」、真実和解委が韓国政府の責任認定

 韓国政府の真実・和解のための過去史整理委員会(真実和解委)は24日、いわゆる「釜山兄弟福祉院事件」について「公権力による人権侵害事件」だったとする結論を下した。事件が明るみに出た1987年から35年後に「国家責任」を認める判断が国家機関から下されたことになる。

 釜山兄弟福祉院事件は1960年から92年にかけ、警察などが浮浪者と判断した人たちを強制収容し、強制労働をさせたり、いじめ行為に及んだりしたもので、代表的な人権侵害事件に数えられる。真実和解委は兄弟福祉院が釜山市と「浮浪人収容保護委託契約」を締結した1975年から86年までの期間の実態を解明してきた。その期間に福祉院には約3万8000人が入所した。それに加え、兄弟福祉院の前身である兄弟育児院が設立された60年以降に起きたことについても調査を進めた。

【写真】記者会見で涙を流す被害者パク・スンイさん

 真実和解委は国家記録院釜山記録館などで新たに確認した統計などに基づき、75年から88年までに兄弟福祉院で死亡した人は657人だったとした。これまで判明していた552人よりも105人増えた。同委は一部の死者について、殴打などによる死亡が「病死」と虚偽記載された可能性が高いと指摘した。

 兄弟福祉院に適応できなかったか、反抗した収容者に対し、専門医の診断によらず、精神科薬物を強制的に投与した事実もあるとした。イ・ジェスン常任委員は「一部の収容者は兄弟院内の精神療養院に一種の懲罰として入院した。一部の収容者に精神科薬物を強制的に飲ませ、無気力な状態にして管理したと判断される」と述べた。

 真実和解委は国が兄弟福祉院の不法行為を黙認していたことも確認されたと指摘した。 保安司令部は86年、兄弟福祉院に対し、「刑務所より強い規律(の適用)と統制がなされている」と判断したが、いかなる措置も取らなかった。実態が外部に知られ、検察の捜査が始まった87年以降も、保健社会部は浮浪者の強制収容は避けられないと主張し続けたという。

 真実和解委は「国が兄弟福祉院の強制収容被害者と遺族に公式に謝罪し、被害回復に努め、トラウマ療養策を立てるべきだ」と勧告した。強制収容の根拠となった「内務部訓令410条」にも違憲・違法性があるとした。今回の調査は真相究明申請者544人のうち191人を対象に行われ、同委は今年末までに第2次真相究明作業を進める方針だ。

 兄弟福祉院ソウル京畿被害者協議会代表のイ・ヒャンジクさん(51)は13歳だった1984年6月、釜田駅近くの交番から兄弟福祉院に送られた。父親がイさんを交番に預けて買い物に行った間に取り締まり担当者が交番からイさんを車で連れ去ったのだ。兄弟福祉院に到着するとすぐ、暴行が始まったという。 イさんは「クリスマス、秋夕(中秋節)、正月を除き、毎日のように暴行を受けた」と話した。

 兄弟福祉院被害者協議会のパク・キョンボ諮問委員長(58)は「ようやく私たちは『自称被害者』ではなく、本当の被害者として認められるようになった。兄弟福祉院できちんと教育を受けられず、障害を負った被害者に対する賠償・補償に政府と国会が先頭に立ってほしい」と訴えた。

パク・チミン記者

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