韓国大統領府と外交部(省に相当)は、今年9月に北朝鮮の平壌に行った文在寅(ムン・ジェイン)大統領専用機が米国の対北朝鮮制裁の適用を受け、米ニューヨーク訪問時に制裁免除手続きを取っていたという本紙報道について、「事実ではない」と否定した。

 韓国大統領府は13日、「我々が米国に制裁免除を要請したことはない」と述べた。しかし、外交部は「(専用機の米国入国について)韓米間で緊密な協議はした」と言っている。専用機問題を協議したが、公式の免除要請はしていないということだ。専用機が米国の制裁対象になっているのかどうかについても、「米国に聞いてほしい」と具体的には答えなかった。

 韓国大統領府の金宜謙(キム・ウィギョム)報道官は同日の記者会見で、「文大統領が9月に米国で行われた国連総会に出席した際、専用機の制裁例外手続きが取られた」という記事について、「米国に制裁例外手続きを要求したことはない。従って、韓国政府が米国の制裁免除を申請したこともない」と言った。米国の許可を受けて米国に行ったという話は事実無根だとしたものだ。

 ところが、外交部当局者は「このような(専用機)協議は常にしている複数の協議の1つだ。韓米間で緊密な協議をした」と述べた。ただし、「協議後、米国に制裁免除申請をしたことはなく、何の問題もなしに国連総会に出席した」とも言った。韓米間協議により専用機の訪米問題を解決したということだ。

 韓米間協議の時期について、この当局者は「時期ははっきり言えない」と言った。本紙の報道内容も、米国の大統領令に基づき、文大統領専用機に対する制裁の免除を受けるための韓米間協議を経て訪米が実現したという内容だ。韓国政府が米国に制裁免除を「要請した」という部分はない。

 文大統領専用機が米国の制裁対象になっているかどうかについて、金宜謙報道官は「韓国政府よりも米政府や米大使館から確実な回答を得てほしい」と米国に球を返した。これに対して米大使館側は「その問題なら韓国政府か駐米韓国大使館に聞いてほしい」と言った。つまり、韓米間で「ピンポンゲーム」をしているような形だ。

 在外公館長会議に出席するため韓国に一時帰国している趙潤済(チョ・ユンジェ)駐米大使は、記者懇談会でこの問題に関する質問を受けたが、何も答えなかった。ワシントンの外交消息筋は「専用機の米国入国過程には口にできない複雑な事情がある」と語った。

 外交部も「専用機の米国国内法(制裁)適用については、米政府に問い合わせてほしい」と言った。韓国大統領府と同じだ。「大統領専用機はもともと制裁免除になるのか」と尋ねると、外交部当局者は「(文大統領は)とにかく国連総会に問題なく出席した。制裁免除は申請していない」と述べた。米大統領令には、制裁対象が北朝鮮に行った航空機となっているだけで、民間機・軍用機・専用機の区別はない。

 韓国大統領府は、中間経由地に米ロサンゼルスを検討していたが、チェコに最終決定した理由について、時差ぼけ回避のための「生体リズム」を考慮したと説明した。金宜謙報道官は「経由地をチェコに決めたのは制裁とは無関係だ。給油と、チェコとの首脳外交、そして代表団の時差適応を考慮した」と言った。

 その上で、「(アルゼンチンに行くのに)西(ヨーロッパ)に行くのか、東(米国)に行くのかについては、人間の生体リズムや気流の問題などを考慮すると、西に行く方がはるかに時差適応に有利だ。飛行専門家に聞いてみてほしい」と述べた。

 しかし、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領=当時=は2004年の南米訪問時にロサンゼルスとハワイを経由地に選んだ。李明博(イ・ミョンバク)元大統領、朴槿恵(パク・クネ)前大統領も米国を経由して南米に行っている。歴代の韓国大統領のほとんどが、大統領府が提示した生体リズム論に逆らう経由地を通って南米に行ったというわけだ。金宜謙報道官は「もともとロサンゼルスを経由する予定だったのがチェコに変更されたのではなく、ロサンゼルスもスペイン・オランダ・ハンガリー同様、検討を経て脱落した経由地候補の1つだった」という趣旨の説明をした。

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