▲大田コンベンションセンターで開かれたタウンホールミーティングで李在明(イ・ジェミョン)大統領が市民の質問に答えている/今年7月4日、聯合ニュース

 韓国政府が零細事業者、自営業者の債務調整プログラムである「新出発基金」の支援対象を9月から拡大した中で、同基金を運営する韓国資産管理公社(KAMCO)が債務返済能力が十分にある人の債務840億ウォン(約88億円)を減免していたことが監査院による監査で明らかになった。

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 監査院が15日に公表したKAMCOの定期監査報告書によると、KAMCOは2022年10月から今年3月まで3兆9038億ウォンを投じ、金融機関から不良債権を買い取り、債務者3万2703人の元金を最大90%免除した。

 ところが、監査院が確認したところ、うち1944人(5.94%)は毎月の返済可能額が実際の返済額よりも大きく、債務を減免する必要のない人たちだった。

 それでもKAMCOはこうした人の債務の元金の約60%を減免した。これはKAMCOが新出発基金で債務調整対象者になれば元金から少なくとも60%の減免を受けられるように制度を設計したためだ。例えば、Aさんは月収が8084万ウォンに達しているのに対し、毎月返済する元利金は641万ウォンにとどまっていた。Aさんは新出発基金から元金3億3329万ウォンのうち2億602万ウォン(61.8%)を減免された。

 また、新出発基金から債務の元金を3000万ウォン以上減免された1万7533人のうち269人は、仮想資産を1000万ウォン以上保有していることが分かった。こうした人が減免された債務元金は合計225億ウォンに達した。一例として、Bさんは昨年7月に新出発基金の適用を申請し、同年11月に債務元金の77%に相当する9190万ウォンを減免された。ところが、B氏は1カ月後の昨年12月末現在で、仮想資産取引所の口座だけで4億5229万ウォン相当の資産を保有していた。

 新出発基金から債務を減免される直前や直後に贈与を行った人もいた。債務元金を3000万ウォン以上減免された1万7533人のうち77人は、同基金申請の直前や直後に贈与を行い、同基金から元金66億ウォンを減免された。例えば、Cさんは2022年末に子女に不動産6億ウォン相当を贈与したが、翌年6月に新出発基金を申請し、債務元金6466万ウォンの減免を受けた。

 非上場株式を持っていた人もいた 1万7533人のうち39人は非上場株式を1000万ウォン以上保有していたにもかかわらず、債務34億ウォンの減免を受けた。

 監査院はKAMCOに対し、新出発基金は不良債務者の債務調整時に所得など償還能力を考慮して減免対象とするかどうかを決め、減免率にも償還能力がきちんと反映されるように減免率算定方式を合理的に改善するよう通告した。また、財産調査時に仮想資産、贈与および非上場株式の保有状況を確認する方策を立て、詐欺的な行為の疑いがある債務者については、追加調査を行い、適正な措置を取るよう求めた。

キム・ギョンピル記者

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