文大統領、韓日首脳会談と強制徴用賠償で板挟み

 日本の安倍晋三首相が21日、新任の南官杓(ナム・グァンピョ)駐日韓国大使に会い、強制徴用問題などに対する韓国側の「適切な対応」を要請したと共同通信が報じた。前日、日本政府が徴用問題と関連した仲裁委員会の設置を正式に要請したのに続き、首相がこれを再び強調したものだ。河野太郎外相は同日、「文在寅(ムン・ジェイン)大統領に責任を持って対応していただきたい」とも述べた。両国関係の行き詰まりが長期化しているのに伴う韓国政府の負担が大きくなる中、外交関係者の間で「劇的な折衷点」の見通しが慎重ながらも出ている。

■日本「文大統領が対応を」全方位的な圧力

 河野外相は同日、外務省で行われた記者会見で、韓国に仲裁委設置を要請したことについて、「外交問題だけに文大統領に韓国政府を代表して、きちんと責任を持って対応していただきたい」「両国関係にとってゆゆしき事態だ」「李洛淵(イ・ナギョン)首相に『韓国政府の対応には限界がある』と言われては、これ以上待つこともできない」と述べた。

 河野外相が徴用問題と関連して文大統領に直接言及したのは初めてだ。外交トップが相手国の首脳の名前を挙げるのは「外交欠礼」の素地があるが、「国内での対応策の検討に限界があるならば、当然、仲裁委員会に応じざるをえないし、必要ならば国際司法の場できちんと解決していきたい」と述べた。この問題に対する国際外交戦も辞さないということだ。

 菅義偉官房長官も同日、南官杓大使と会い、「韓国政府の責任で問題を早く解決してほしい」と、自民党の二階俊博幹事長は記者会見で「相手の考えをよく聞いて、円満に友好的に話し合いをしていくのが基本だ」と述べた。安倍内閣は7月の参議院選挙を前に、国内政治のために、この問題を利用するという声もある。

■黙り込む大統領府…「外交的に解決を」

 韓国大統領府は、こうした日本の波状攻撃に正式なコメントを出していない。外交関係者の間では「仲裁委が実際に稼動する可能性は高くない」というのが大方の見方だ。韓日請求権協定によると、仲裁委の要求は相手国が受領した日から30日以内に両国が仲裁委員を選任することにより、設置するかどうかが決定される。韓国がこれに応じなければ、事実上の稼働は難しくなる。

 ただし、外交関係者の間では、慎重なアプローチを通じた「状況管理」が必要だという雰囲気が感じられる。外交部(省に相当)当局者は同日、「仲裁委の開催と外交的協議要求の両方に対して慎重に検討している」と述べた。仲裁委ではなく、別次元の協議の可能性も示唆したものと見られる。外交消息筋は「仲裁委や国際司法裁判所ではなく、別の層に外交的折衷点を見いだすのが最善だろう」と述べた。

 こうした中、韓日外相は23日、フランス・パリで行われる経済協力開発機構(OECD)年次閣僚理事会で会って会談を行う。外交部当局者は「強制徴用被害者問題をはじめとする相互の関心事項が幅広く話し合われるだろう」と述べた。これまで韓国政府は日本側の「政府間協議」要求に対して実質的に反応してこなかった。政府内の流れが変わっている可能性が見え隠れする。

■G20、状況反転のモメンタムとなるか

 韓国政府が仲裁委設置など強制徴用対策に引き続き消極的な姿勢ならば、国際社会に対して「韓日関係の行き詰まりは韓国のせい」という認識が広がる恐れがある。このような状況で日本と外交戦を繰り広げるとなると、結果を楽観できなくなる。日本政府が圧力を強めているのには、このような計算も働いていると見られる。

 識者の間では、「韓日は結局、日本で相次いで行われる大型外交イベントと強制徴用対策を連携させるだろう」という見方がある。国民大学のイ・ウォンドク教授は「6月に大阪で行われる20カ国・地域首脳会議(G20サミット)や徳仁天皇即位に伴う10月の外交イベント、来年の東京五輪など、日本がスポットライトを浴びるイベントが続く」と話す。

 特に、来月のG20サミットをきっかけに首脳会談開催を協議する過程で、自然な形で強制徴用問題が取り上げられる可能性が高い。聖公会大学のヤン・ギホ教授は「このように状況を放置した状態のままで、両国首脳が会うことはできない」と語った。「ホスト」である日本も、韓米日三角同盟の1つの軸をなす韓国も、「会談不発」は得よりも損の方が多いというのが、識者の大方の見方だ。

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