【コラム】論文盗作に対する弁明

金氏の盗作論文をめぐって、彼女がどの程度責任を取るべきかという話が出た。ある先輩は「今のポジションを獲得する上で学位が決定的な要因であるなら職を辞するべきだし、そうではないなら必ずしもやめる必要はないのではないか」と言った。記者も金氏がもう一度チャンスを得てもいいのではないかと思う。

 2007年に起きたシン・ジョンア元東国大助教授の学歴詐称事件を機に、韓国社会はようやく、偽の学歴を語り履歴書に書くことが「犯罪」だという事実に共感するようになった。「他人の論文を一部でも写すのは大きな犯罪」だという社会的認識が形成されたのもここ数年のことだ。

 韓国社会では「博士などありふれていて、どこにでもいる」とからかいながらも「どこどこの博士」だと分かればその人の言葉になんとなく重みを感じてきた。いくら手術の腕が良くても、患者を上手に診察する医師だとしても、博士号がなければ大学病院の教授になることはできない。意味のない論文だとしても本数を稼げば定年までのポストが保障される。「質的検証」は誰もしない。大学や機関は恣意(しい)的採用の予防線として論文の本数や学位証明書を利用してきた。大学は特殊大学院をやたらと作り、修士・博士学位を与えるという「商売」で金を稼ぎ、そこで博士号を取得しながらも職の見つからない卒業生に就職先を与えることで、再び裏金を手にする。2回にわたってもうかる市場だ。

 偽の論文を書くのは非道徳的だ。しかしそれが許される環境があるために次々と盗作が生まれる。道徳性の再武装では足りないだろう。学位論文の盗作が見つかった場合、それを書いた人だけでなく、そのような論文に合格を与えた人を公表し、大学にもペナルティーを与えるべきだ。そうすれば、学位乱発の需要と供給のサイクルが途絶えるのではないだろうか。

朴垠柱(パク・ウンジュ)文化部長
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