「戦犯を祭る神社に参拝することは人類史的次元で犯罪」

大阪大学名誉教授の子安宣邦氏がカン・サンギュ教授と対談
-子安名誉教授
日本が安倍政権の成立を容認した理由は、不況・原発事故の社会的危機から
靖国参拝に対しては人類史的抗議でアプローチし、東アジア市民運動の連帯を形成すべき
-カン・サンギュ教授
20世紀の日本帝国主義は韓中に深い傷痕を残した
およそ70年分断が続く韓半島、民族主義の放棄は難しい

カン:ならば、韓国は日本の右傾化や過去史認識に対し、どのような姿勢を取ることが必要か

子安:安倍首相が靖国神社を参拝したら、韓国は民族主義的な次元で取り上げるのではなく、人類史的次元での犯罪行為として抗議すべきだ。かつて軍国主義日本が東アジアの隣国に対し形容し難い加害行為に及んだにもかかわらず、日本の現職の首相が、戦犯の合祀(ごうし)されている祭祀(さいし)施設に参拝するというのは、人類史的次元での犯罪だ。こうした抗議を通じ、靖国神社参拝問題をめぐって、東アジアの市民運動の連帯が形成され得る。われわれが追及すべきは、民族主義的対立ではなく、東アジア市民としての共感と連帯だ。

カン:東アジアで市民レベルの交流や連帯が可能な領域には、どのようなものがあるか。

子安:韓国の徴兵制や日本の平和憲法の原則と現実について、韓国・日本の学生らが共同で討議してみるのもよいのではないか。原子力発電の問題も、本質的には一国のレベルを超えて地球的レベルから考察する必要がある。

カン:20世紀後半から、東アジア各国は目覚ましい経済発展を実現し、いわゆる「儒教資本主義」をめぐる論議が活発だ。中国政府は最近、強力な国家的支援を通じて儒学の世界化を推進している。しかし中国の覇権的性格を強化する政治イデオロギーとして作用する懸念も大きい。果たして、儒学が近代西洋文明を補完する一つの代案になり得ると思うか。

子安:今回の講座で強調しようと思っているのも、過去の儒教文化圏というより、現在の生活文化圏として東アジアを捉えようということ。かつて儒教は「中華帝国」という事大的秩序を支えた政治的かつ道徳的な教理でもあった。東アジアで儒教文化圏を強調する場合、「中華帝国」の再登場を容認する危険性がある。それより、東アジアを各国市民の生活世界や連帯の空間と認識する方が重要だ。

■子安宣邦氏

 近・現代の日本知性史・文化史に関する著名な思想家で、東京大学文学部を卒業後、同大学院で倫理学を専攻した。『日本ナショナリズムの解読』『国家と祭祀 国家神道の現在』といった著書は、韓国でも紹介されている。

整理=キム・ソンヒョン記者
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