「日本のおかげ」広報動画は植民地近代化論と同じ発想

日本の借款は一種の賠償金、純粋な援助とは見なせず
通貨危機時に韓国の苦境を無視、欧米より大規模に資金回収
西欧よりも暴圧的な植民地支配、資源・食糧収奪に徴兵まで

 政府レベルの公共借款と、民間企業が韓国政府の保証を受けて外国から借りた民間借款を合わせても、状況はさほど変わらない。同期間の公共借款と民間借款の合計額は32億1400万ドルで、米国からの借款が13億5800万ドル(42.3%)、日本からが7億8700万ドル(24.5%)、欧州からが7億2600万ドル(22.6%)だった。

■日本からの資金は日本にも利益もたらす

 朴正熙政権は、日本からの資金を初期の経済開発に効果的に活用した。外務省の広報動画で取り上げられた浦項総合製鉄所、昭陽江ダム、ソウル地下鉄1号線の建設に日本の資金が投じられたのは事実だ。賠償金としての意味合いを持つ5億ドル(無償3億ドル、有償2億ドル)のうち、1億2000万ドル程度が浦項総合製鉄所の建設に使われた。元々は農業分野に投じられる資金だったが、当時の政府が韓国の製鉄所建設に反対していた日本を説得し、同製鉄所の建設に使い道を変更した。産業公害問題に直面した日本にとって、鉄鋼工業設備を販売する安定した大型プロジェクトが必要だったため、浦項総合製鉄所の建設に同意したとする研究(パク・ヨング釜山外国語大教授)もある。

 昭陽江ダムの建設資金290億ウォンのうち104億ウォンも、日本政府からの有償借款を活用した。また、74年にソウル地下鉄1号線(ソウル駅~清凉里駅)を建設する際に投じられた330億ウォンのうち、150億ウォンは日本の海外経済協力基金(OECF)からの借款だった。年4%台の低い金利だったが、日本も初期に使われた地下鉄車両186両を日立製作所が製造するなど、利益を手にした。

■国交正常化後の対日貿易赤字4900億ドル

 65年の韓日国交正常化以降、日本企業は投資・貿易パートナーとして韓国企業との協力を拡大した。だが「技術提携」という名の協力関係は、日本企業にとって遅れた技術と老朽化した設備を移転する機会だった面もある。当時、朴正熙政権が重化学工業と輸出が主導する成長戦略を推進したため、中間財輸出の利得が大きかった。日本が韓国との貿易で得た利益を端的に示すデータが、国交正常化から昨年4月にかけて積み上がった対日貿易赤字額だ。4944億ドルに達する。

李陳錫(イ・ジンソク)記者
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