【コラム】「朴裕河起訴問題」を読み違える韓日の有識者たち

 『帝国の慰安婦』が元慰安婦たちの名誉を毀損しているかどうかは、裁判所が判断することだ。朴裕河教授は、裁判所や検察が名誉毀損だと指摘した「売春婦」「(日本軍と)同志的な関係」といった表現が自身の主張ではなく、文献・資料・証言を引用したものであり、論理展開と文脈を読めばそうした表現を使った理由が分かるはずだ、と言った。果たしてそうなのかは裁判の過程で十分に明らかになるだろう。今回の裁判は「言論・出版の自由」と「名誉毀損」がぶつかり合う試金石だ。朴裕河教授は悔しいだろうが、ほかの国民と同様、14日に始まる裁判に誠実に臨まなければならない。

 この裁判は、朴裕河教授が著書で述べた内容の慰安婦問題解決における意味と別途に考えるべきだ。朴裕河教授に批判的な国内外の有識者たちは公開討論を何度も提案している。朴裕河教授を擁護する日米の有識者たちは「メディア空間を通じた議論の活性化」を主張、朴裕河教授も「本格的な議論や公論化の場が必要だ」と述べた。『帝国の慰安婦』をめぐる議論は既に韓国だけでなく国際的な影響力を持つだけに、きちんとした議論は不可欠だ。

 これに関連して懸念されるのは、日本で朴裕河教授が韓国の「良心」を代表する有識者と見なされることだ。朴裕河教授は日本文学研究者であって、誠意を持って慰安婦問題を取り上げているにしても限界がある。『帝国の慰安婦』も本格的な学術書というよりは自身の考えを書き留めた散文集に近い。日本のメディアや有識者たちが同問題の歴史的・法的・社会的文脈を深く研究してきた韓国の専門家たちの意見を退け、耳を傾けやすい朴裕河教授の考えを取り上げれば、問題はさらにこじれることになる。今回の事態が韓日関係に否定的な影響を及ぼすことのないよう、慎重なアプローチをお願いしたい。

李先敏(イ・ソンミン)先任記者
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