敗戦と震災、「反省なき日本」は繰り返される

東日本巨大地震から5年、韓国で関連書籍相次ぎ出版

 『死者のざわめき』(磯前順一著)は被災地を4年かけて回った日本の人文学者のルポだ。著者の磯前順一・国際日本文化研究センター教授は文学と宗教学を専攻し、災害発生直後と4年後の日本国内の亀裂と格差について、苦痛に満ちた語り口で述べている。土木工事のような復興事業をきっかけに活発に動き出している仙台、住民が徐々に戻り始めた宮城県、そして帰還不可能な地域となった福島。日本全土が一丸となって「絆」や「頑張ろう」というスローガンを口にしていた復興初期とは様子が異なるというのだ。

 磯前氏は著書で、岩手県大槌地域の「風の電話」について触れている。東日本巨大地震で最も大きな被害を受けた地域の一つである大槌町の、ある高台に設置された象徴的な電話だ。「風の電話」は、もうこの世にいない「死者」と対話するために「生きている者」の心の中にある回線を使って話す電話だ。電話機の横にはノートが置いてあり、訪れた遺族が思いをつづることができる。そしてノートは訪れた人が誰でも読むことができる。

 生きている人と亡くなった人が直接向き合えば、耐え難い感情的エネルギーが噴き出すはずだ。そのため第三の存在、つまり通訳者、いわばシャーマンの役割が必要だ。『死者のざわめき』は、シャーマンかつ通訳の役割を自任する人文学者の鎮魂曲であり、生きている人に対する慰めでもある。

 ドイツの批評家、バルター・ベンヤミンの概念に「ボトルメッセージ」と「非常警報器」というのがある。離れ小島に流れ着いた人がガラスの瓶に入れて海に流す手紙。いつかどこかで誰かが拾ってくれるだろう。そして、より大きな危機と災難に対する警告。本書は人文と芸術と科学の言葉で書いた2016年のボトルメッセージであり、非常警報器である。

魚秀雄(オ・スウン)記者
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