トイレットペーパーとして製品を出荷するためには、国家技術標準院が定めた溶解性に対する基準をパスしなければならない。ビーカーにトイレットペーパーを一つ入れて600回かき混ぜ、全て溶けるまでの時間を測定するが、その時間が100秒未満でなければ製品として認可されない。トイレットペーパー製造メーカー「ユハンキンバリー」が2015年に行った実験では、同社のティッシュペーパーやハンドタオルは同じ方法で300秒がたっても水に溶けなかった。ティッシュペーパーやハンドタオルを作る際は、水に濡れても簡単に溶けないよう製造過程で湿潤紙力増強剤を入れ、水に濡れてもすぐに破れないよう強度が高められているためだ。旅行用やポータブル用のティッシュも、ティッシュペーパーとして分類される。便器にはトイレットペーパーしか入れてはならないという意味だ。
トイレットペーパーが水によく溶けるにもかかわらず、トイレットペーパーのために便器が詰まるといった偏見は依然として残っている。化粧室文化市民連帯のピョ・ヘリョン代表は「トイレットペーパーが貴重だった1970年代には薄いカレンダーや新聞紙を代わりに使用し、これらの紙は別に集めて捨てていた。トイレットペーパーを別途に捨てる習慣はこれによって生じた」と説明する。当時は水で流す水洗式便器ではなく、ほとんどが在来式便器だったが、汚物回収業者が「紙を一緒に便器に捨てると処理が困難」とし、家庭で別に集めて燃やしたことが由来となっている。これがトイレにごみ箱が置かれるようになった背景と思われる。