関東大震災当時の朝鮮人虐殺、足かけ10年で証言集を出版

著者・西崎雅夫さん「事実を忘れた民族と、忘れない民族では、将来も違ったものになる」

 その後、中学校で英語教師として勤務するかたわら、志を同じくする人々と共に「グループほうせんか(関東大震災時に虐殺された朝鮮人の遺骨を発掘し追悼する会)」という市民団体を設立し活動した。日本人や在日韓国・朝鮮人、ニューカマーの韓国人など約600人が金を出し合い、900万円を集めて、2009年に虐殺現場の河川敷の近くに追悼碑を建立した。「悼」という1字を刻んだ石碑だ。

 西崎さんは「加害者も被害者も、結局はこの街の住民だった」と話した。虐殺に加担した人の中で、法的に処罰を受けた人はごく一部だった。「知人のおじいさんが、亡くなる間際に『若いころ、近所の人たちと一緒に朝鮮人3-5人を殺した』と告白したことがあった。知人はショックを受けていた」

 この証言集には、日本人の自警団が「助けてくれ」と叫ぶ朝鮮人たちを生きたまま燃える薪(たきぎ)の中に放り込み、焼き殺しているのを見たという11歳の少女の目撃談も登場する。一方、「日本人であれ朝鮮人であれ、私の下で一緒に酒を飲み、働いた人たちを死なせるわけにはいかない」と言って保護した日本人の工事監督の話も載っている。

 西崎さんは「具体的な事実を忘れた民族と、忘れない民族では、将来も違ったものになると思う。日本の若者たちが次第にこのような問題に関心を示さなくなっているのが大きな問題だ」と語った。「共感する方がいれば、1人1-2冊ずつ購入し、国公立図書館に送る運動を繰り広げてくれればと思う」

東京=金秀恵(キム・スヘ)特派員
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