暴力にセクハラ、非常識な乗客に悩まされる旅客機乗務員たち

 乗客に暴力を振るわれる乗務員も少なくない。海外の航空会社で働く韓国人乗務員(28)は「ビールを切らして提供できなかった乗客から、機内後方のトイレ前でほおを強くつねられ、痛くて恥ずかしくて一人で涙を流した」と打ち明けた。海外航空会社の韓国人乗務員は雇用が不安定なため、乗客とのトラブルを避けようとする傾向があるという。韓国航空会社の乗務員の中にも、ビジネスクラスのトイレを使おうとした乗客を止めた際に髪をつかまれた人もおり、表ざたになっていない暴行事件が少なくないとされる。

 熱湯の入ったカップラーメンをかぶった乗務員もいた。バンコクから中国・南京に向かう旅客機内で、自分の席を恋人の隣に変えてほしいと求めた20代の中国人の男が、なかなか変えてもらえなかったことに腹を立てて騒ぎを起こし、怒った恋人もカップラーメンを乗務員の顔にぶちまけたとされる。旅客機はバンコクに引き返し、このカップルは空港で待機していた警察に逮捕された。

 韓国の航空会社7社が把握した機内での違法行為は、12年が191件、13年が203件、14年が354件、15年が460件と、近年急増している。15年に摘発された違法行為は、機内での喫煙が381件で最も多く、次いで暴言を吐くなどの騒乱行為(42件)、セクハラ行為(15件)、飲酒後に危害を加える行為(9件)、暴行・脅迫(6件)と続いた。

 機内での違法行為はほとんどの場合、罰金刑に処されており、処罰を強化すべきとの声も強まっている。国会では先ごろ、与党セヌリ党の議員や最大野党「共に民主党」の議員らが機内での違法行為に対する処罰を強化する法案を相次ぎ提出した。これらの法案は、単純な騒乱行為に対しても懲役刑の実刑判決を可能にすることを柱としている。

 一方、イム・ボムジュン容疑者が騒ぎを起こした機内に乗り合わせた米国の有名歌手リチャード・マークスさんから乗務員の未熟な対応を指摘された大韓航空は、機内で暴力を振るったり暴れたりした前歴のある乗客を「ブラックリスト」に載せ、搭乗を拒否することを決定。騒ぎを起こしたイム容疑者とロシア人乗客をすでにリストに加えた。

姜訓(カン・フン)記者
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