「がらくた」から「孝行息子」に生まれ変わった韓国製自走砲

 この事件の「爆風」は、当時K9を生産していたサムスンも揺さぶった。サムスンの李健熙(イ・ゴンヒ)会長は11年6月、サムスン・テックウィンの経営診断の過程で「サムスンの誇りだった清らかな組織文化が損なわれた。不正を根絶しなければならない。海外の優良企業も、組織のたるみや不正で崩れたケースが少なくない」と激怒した。サムスン・テックウィンの社長はすぐに辞表を書いた。業界関係者は「李健熙会長は、K9の不具合および防衛産業不正問題がサムスン全体のイメージに悪影響を及ぼすとして、かなり否定的な認識を持ち、15年にサムスンが防衛産業部門をハンファに譲渡する際、ある程度影響を及ぼしたらしい」と語った。現在、K9自走砲はハンファ・テックウィンで生産している。

 専門家らは、K9が過去の「汚名」をすすぎ、輸出に貢献する孝行息子へと変わったのには、幾つか理由があると語った。まず、持続的な技術開発で「コストパフォーマンス」を引き上げ続けたという点。現在、世界最強の自走砲はドイツのPzH2000だと評されているが、価格はK9(およそ40億ウォン=約4億円)の2倍以上だ。第二に、輸出対象国の状況や要求に沿った「オーダーメード型輸出」戦略が奏功したと分析されている。2日に契約を結んだフィンランドの場合、予算が足りないため、価格が新車の半分にとどまる中古のK9を整備して輸出するという手法を選んだ。中古K9の輸出は今回が初めて。韓国陸軍で12年使用され、廠(しょう)整備(解体してメンテナンスおよび修理を行い、新品同様に使用可能な状態に戻すこと)しなければならない自走砲をフィンランドに輸出し、韓国陸軍には新品の自走砲を提供するという方式だ。フィンランドと韓国陸軍、双方の役に立つ新たな「ウィンウィン」モデルをつくり出したのだ。

 K9自走砲の輸出は、01年のトルコ、14年のポーランドに続きフィンランドが3例目。このほか、ノルウェーが24門のK9自走砲の配備を検討している。また、インドもK9自走砲100門の配備を最終確定させる段階にあり、オーストラリア、エジプトなどへの輸出も推進しているという。

【図】K9自走砲の諸元

ユ・ヨンウォン記者
前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • 「がらくた」から「孝行息子」に生まれ変わった韓国製自走砲

right

あわせて読みたい