モンスターペアレントと戦う韓国軍はまるで「国防幼稚園」

 このように窓口が増えたことに、兵士の親は満足している。15年に韓国陸軍が行った調査では、親の97.3%が「オンラインのコミュニケーションは部隊と親の間の意思疎通に役立つ」と回答していた。

 しかし、韓国軍幹部の考えは異なる。16年5月に国防部(省に相当)が行った調査で、軍幹部の20%は「業務に支障がある」と回答した。「親の無理な要求でストレスを受けている」という幹部は9%おり、「退勤後の個人の時間を侵害される」というケースも22%に上った。全羅道のある陸軍部隊で中隊長を務める32歳の大尉は「ある兵士の母親は、週に3、4回も電話してきて『うちの子をよろしく頼む』『うちの子に特別なことはないか』と尋ねる。一度の電話で、長いときは30分も話すのだが、電話を切ることができなくて困る」と語った。江原道のある陸軍部隊に所属する28歳の大尉は「『うちの子は呼吸器が弱いので、季節の変わり目の風邪には注意しないといけない』など、ちまちましたメッセージまで受け取るときは、自分は小学校の教師なのか中隊長なのか、分からなくなるほど」と語った。韓国軍当局は、親が部隊の位置や訓練の日程、軍の装備などを外部に漏らして保安事故を起こしかねないと懸念している。息子を軍隊に送った親の一部も、過度なコミュニケーション活動に懸念を示している。ある主婦の長男は、昨年末に兵役を終えた。この主婦は「訓練所のサイトで息子の訓練写真や訓練内容、毎日3度の食事の献立を確認して、息子と話をした。軍隊は画期的に変わったという思いを抱いたが、一方では『国防幼稚園』に送ったような印象もあった」と語った。

 韓国陸軍の関係者は「息子が入隊したら、訓練所の前に家を用意して暮らし、行軍についてくる両親の姿は、今では割とよく見られる」「いまさら、ネイバーのBANDやカカオのグループトークをなくすこともできず、また兵士についてもっとよく理解できる良い機能もある。親が理解を示して自制してくれることを願うばかり」と語った。ある主婦は「軍隊が兵士をうまく管理していれば、どうしてこんな関心が要るだろうか。兵営内の暴行や死亡事故を減らすための努力からやるべき」と語った。

チョン・ヒョンソク記者
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