韓国のあるメディアが「文在寅氏が大統領に当選して初めて電話した相手はブータンの首相だった」と報道したが、そうした事実はないという。だが、ブータンという国があらためて注目の的となった。もちろん、ブータンが韓国のモデルになることはあり得ない。ブータンは人口が少ないし、土地も小さい。それに、物質的欲望や不平を抑える強い宗教がある。インドの保護により独立をかろうじて維持している。北側の領土を中国に少しずつ奪われ、小さな国がより小さくなっている。小説の中のシャングリラは不老長寿の国だが、ブータンの平均寿命は65歳だ。
国民の幸福度は調査方法や時期によって変わる。今年の国連の調査で、ブータンの幸福度は97位(韓国は56位)、英国の新経済財団が昨年調査した結果では56位(韓国は80位)だった。重要なのは順位ではない。国内総生産(GDP)の数字ばかり追いかけていた国の哲学と目標に「幸せ」を反映させたからこそ、ブータンは注目されたのだ。大統領がこうした考えを持っているだけでも何かが変わってきそうだ。しかし、朴槿恵(パク・クネ)政権も「国民の幸福時代」を掲げていた。結局、大統領が無事に国政を運営し、国民を統合することほど、今の韓国国民にとって大きな幸せはなさそうだ。