5年で277隻、日本に流れ着く北朝鮮の「白骨船」

 北朝鮮の白骨船が年におよそ60隻も日本に出没しているのは、金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長が14年1月に「魚の台風を作り出せ」と指示を出したことに加え、金正恩政権樹立(12年)以降、市場の活性化に伴い、売りに出す魚を取らなければならない漁民の経済的な切迫感も重なった結果と解されている。聖学院大学の宮本悟・特任教授(北朝鮮政治)は昨年末、NHKの番組で「金正恩委員長による『魚の台風』指示の後、漁民が無理に海へ出ている。レーダーやGPS(衛星利用測位システム)を持たない小型木造船が大海原で悪天候に遭遇したら、結局は潮に流されて日本の沖へと流れ着く」と語った。

 近ごろの脱北者によると、北朝鮮東部沿岸は過度の漁労のため魚がほとんどいないという。結局、遠くの海へ乗り出さなければならないが、北朝鮮の漁民が乗る木造船には小型のモーターしか付いていない。2-3日分の水と食料だけを準備して何十キロも沖まで出漁するので、風浪や強い潮の流れに遭遇したら、すぐに死の漂流が始まる。ある脱北者は「韓国の海警や漁船に見つかった北朝鮮の漁民は、天運に恵まれた存在。ほとんどは魚の餌になるか、白骨で日本に着く」と語った。小橋漁港の近くで北朝鮮の木造船を目撃した漁業者の一人は「こんな丸太みたいな船に乗って漁に出るなんて、とても信じられない。朽ち果てた木造船の姿が、北朝鮮の未来のように見えた」と語った。読売新聞は今年4月「北朝鮮の木造船が使っている小型エンジンや漁具などは、日本では30年も前に使っていたもの」と伝えた。

 白骨と化して日本に到着した北朝鮮漁民の遺骸は、ほとんどが故郷に戻ることもできない。費用などの問題で、北朝鮮当局が引き取らないからだ。こうした遺骸は、火葬されて地域の寺などに保管される。一部の遺骸だけが、朝鮮赤十字会の要請で北朝鮮に戻る。なお、日本は遺骨を返還する際に船の廃棄や火葬の費用などとして200万-300万円を請求するが、実際に支払いを受けることは期待していないという。

舞鶴(京都)=イ・ドンフィ特派員
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