【萬物相】「油断」と「テキトー」が招いたタワークレーン事故

【萬物相】「油断」と「テキトー」が招いたタワークレーン事故

 中国の文豪・胡適の作品の一つに「差不多先生」という小説がある。「差不多」(特に違いがない)とは中国人が普通によく使う言葉だが、これを自らの名前とした人物の生涯を描いたのがこの小説だ。差不多先生はその名の通り生涯を「テキトー(適当)」に生きた。幼い時に母親から黄色い砂糖を買ってくるように言われた時は白い砂糖を買い「甘いのは同じ」と言い訳した。大人になってから働いたある店では、帳簿に「十」と「千」を区別せず交ぜて書いた。画数が一つしか違わないので大きな差はないというのがその理由だ。重い病気にかかった時に呼んだ医者は獣医だった。獣医も医者もさほど変わらないと言ってテキトーに治療を受けたが、結局はそれが原因で死んでしまった。

 韓国では最近タワークレーンの崩壊事故が相次いでいる。今年5月に京畿道南楊州市のある工事現場で起こった事故は3人が犠牲となり2人が負傷する大惨事となった。警察の捜査によると、建設会社は作業中のクレーンの調子が悪くなった際、スペイン製の純正品を購入せず、ソウル市内のある鉄工所に同じ形の部品を注文して使っていたことが分かった。破損した元の部品に紙を押し付けてイラストを描き、それを参考に鉄工所で製作したというのだ。タワークレーンの部品はほぼ完璧な精密さが求められる。ところがこの建設会社は純正品も模造品も差はないと軽く考えていたのだから、これでは事故も起こるべくして起こったと言わざるを得ない。

李陳錫(イ・ジンソク)論説委員
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