【萬物相】「油断」と「テキトー」が招いたタワークレーン事故

 またこの建設会社の社長は警察での取り調べで「元請けから3日以内に作業を再開するよう求められている」とも証言した。業者は工事の遅延とそれに伴う金銭面での不利益を恐れていたのだ。韓国国内にタワークレーンは5980台あるが、その5台に1台は製造から20年以上過ぎているという。だとすれば部品も当然損傷するため、今後も同じような事故が次々と発生する可能性が指摘されている。2012年から今年5月までにタワークレーン関連の事故は270件発生しており、33人が死亡し252人がけがをしている。

 これと同じパターンは他の業界でも繰り返されている。わずかな金銭をけちると結局は大きな事故を招くことがどうしても理解できないようだ。旅客船「セウォル号」は貨物の運送料を少しでも稼ごうと、事故を起こす前に平衡水を933.6トン抜いて1065トンの貨物を余計に載せ、しかもその貨物を固定もしていなかった。「油断」と「テキトー」もここまで来れば病気だが、韓国社会では改善の傾向など全く見られない。1995年の三豊デパート崩壊事件も構造診断を省略して設計を変更し、その後も拡張工事を何度も繰り返したことが大きな原因になった。

 韓国人は中国でたびたび発生する大型の事故を見てはよくばかにするが、韓国に中国をけなす資格などあるだろうか。例えば歩道のブロック一つを見ても韓国と日本では全然違う。韓国ではあちこちでブロックの傾きやずれがあっても誰も気にしないが、日本ではブロック一つでもずれたり波打ったりするようなケースはない。タワークレーンの事故もセウォル号沈没事件もその根底に強欲と愚かさ、無能、手抜きがあるという点で共通している。同じような事故の危険性をわれわれは日常生活の中で何度も目にしているはずだ。

李陳錫(イ・ジンソク)論説委員
前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • 【萬物相】「油断」と「テキトー」が招いたタワークレーン事故

right

あわせて読みたい