【社説】公約無視の閣僚人事に悪びれることもない文在寅政権

 文大統領は就任当初「5大不正(偽装転入、兵役逃れ、不動産投機、脱税、論文盗用)に関与した人物は排除する」との人事原則を掲げたものの、それが逆に人事の混乱を招いた。具体的には2人の長官候補が人事聴聞会にも至らず、1人は聴聞会後に世論に押されて自ら下りた。また文大統領は「統合と蕩平(とうへい、党派間のバランスを取ること)の人事」も口にはしていたが、実際は「大統領選挙陣営」「コード(考えかたや感じ方が通じ合うこと)」「共に民主党」という三つに関係した人物ばかりを選んだ。つまり文大統領は人事に関しては言うこととやることが正反対だったのだ。

 それには二つの理由があるだろう。一つは中小ベンチャー企業部長官候補がすでに一人落馬し、2回は失敗したくないと考えたことだ。もちろんこの点はある程度理解できるが、それでも洪氏はどう考えても行き過ぎだ。もう一つはこれほど無理な人事をしながらも、世論調査で支持率が低下しない点だ。文大統領は就任直後こそ人事問題が表面化すると謝罪したが、最近はそれさえしなくなった。さまざまな演出で自らの人気を維持し、それによって無理な政策をごり押しするのが文大統領のやり方だが、これも今は成功しているように見えても、今後いつまでも通用することはないだろう。

 文大統領は洪氏に任命状を手渡す際「反対が強かった長官が逆に仕事ができるという仮説がある。これを仮説で終わらせるのではなく、本当にそうなるようにしてほしい」と述べた。半分冗談かも知れないが、洪氏を苦々しく思う国民のことを本当に考えていたなら、こんなことは言うべきでなかった。

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