【コラム】文在寅大統領の「積弊清算」はまるで文化大革命

 特に、北朝鮮からすれば「してやったり」というところだろう。北朝鮮は「韓国の情報機能や国防能力は偏狭な政治の手下に成り下がり、あの様子では対外的な信頼を保つのも難しいだろう」と考え、非常に励みになっていることだろう。自国の情報維持や軍事安保に国力をかけてきた北朝鮮指導層としては、韓国の情報と軍事安保が損なわれかねない今回の事件に痛快な思いをしているだろう。北朝鮮は特に、「公共の敵」扱いしてきた金寛鎮(キム・グァンジン)元国防部長官の逮捕を「直接手を下さずにいとも簡単にうまくいった」と感じているに違いない。

 彼らの逮捕・捜査は、我々が直面している安保の状況にも悪影響を与える。今、我々は韓国の安保のため全力を傾けなければならない時期だ。戦争の危機だとして論争している米国、安保至上主義に向かう日本、韓国をひざまずかせようとしている中国に囲まれ、国の安全を図らねばならない絶体絶命の課題を抱えている韓国としては、事の後先を考えて軽重を見極め、緩急を調節する知恵を集めるべき時だ。そうした時に、私利私欲による罪でもなく、関係機関の間違った慣行やささいな手違いを持ち出して情報・安保担当部処トップを逮捕するのは、中国の文化大革命時の粛清を思い起こさせる。

金大中(キム・デジュン)顧問
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