【コラム】「反韓」国立歴史博物館はいらない

 それでも同博物館を変えたいのであれば、「韓国の歴史」の枠内で重点を移すことは可能だ。産業化より民主化を、「1948年建国論」より「1919年建国論」を強調し、比重を置くことは問題にならないだろう。その程度は政権交代の戦利品として理解できる。博物館の運営を助けてきた、ある中立的な人物は「産業化博物館から民主化博物館へ変えるのではないか」という見方を示した。しかし、大韓民国樹立の正当性を否定・歪曲(わいきょく)したり、おとしめたり、大韓民国の歴史的正統性を損なったりするのは困る。左派寄りを越えて「反・大韓民国」だという批判を受けてきた検定韓国史教科書の誤った現代史認識や記述が、国立現代史博物館で繰り返されてはならない。

 新たな大韓民国歴史博物館の姿は、朱鎮五館長が力点を置いて推進している来年の「4・3展示会」(4・3は1948年4月3日。済州島4・3事件のこと)と、直後に行われる「政府樹立70周年特別展」、そして常設展示の入れ替えによって明らかになるだろう。先行する二つの展示は、大韓民国の歴史的な姿と密接な関連を有する、極めてデリケートな素材を取り扱うことになる。論争になってきた検定韓国史教科書の筆者でもある朱館長は、「韓国は38度線以南の唯一の合法政府」と強力に主張して韓国の国際的承認に関する重大な事実誤認をさらし、繰り返し指摘を受けてもこうした誤りを認めず、改めない。朱館長が率いる大韓民国歴史博物館を不安に感じ、ことさら注目する理由だ。

 朱鎮五館長は「分裂と対立ではなく、和解と統合の博物館を作りたい」「新たな観点を強要せず、客観的かつバランスの取れた展示を見せたい」と語った。朱館長には、内戦を経験した分断国家の国立現代史博物館トップらしい学問的専門性、思慮深い省察、慎重かつ賢い判断を求めたい。どうか、朱館長が自らの約束を守り、反・大韓民国の歴史博物館を作った人物として記録されることのないようにと、心から願っている。

李先敏(イ・ソンミン)先任記者
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