しかし、酒酔減軽は今も相変らず存在している。今年8月、仁川地方裁判所は、酒に酔って飲食店で暴れ、駆け付けた警官にも暴行を加えた被告人に、酒酔減軽を適用。懲役4月に執行猶予1年を宣告した。
さらに大きな問題は、公務執行妨害や暴行など主に酒乱が引き起こす犯罪にも、酒酔減軽が適用されるという点だ。「酒酔減軽が酒乱を生み出している」と批判される理由がここにある。
このため、裁判所の内部でも「酒に寛大だった社会的雰囲気が変わってきただけに、法の適用方法も変えていかなければならない」といった意見まで取り沙汰されている。酒は、精神疾患とは違って自ら調節できる部分であるにもかかわらず、法律上は全く同じように扱って刑を軽減するというのは不当、といった主張もある。
最高裁判所は数年前にこうした批判を考慮し、「犯罪を犯すために、あるいは犯罪を見越して酒を飲んだ場合には、逆に処罰を重くする」という量刑基準を設けた。故意に酒を飲んで犯行を犯した場合は厳しく処罰せよとの意味だが、そうやすやすと酒酔減軽するなといった意味も盛り込まれている。しかし、これはあくまで勧告事項にすぎないため、最初から立法で酒酔減軽に制限を加えようとする動きもある。刑法10条2項に「飲酒による場合、刑量減軽を適用しない可能性もある」と但し書きを添えればいいだけのことだ。ある弁護士は「そうすれば、やむを得ない場合を除いては酒酔減軽を適用しない雰囲気に変わるだろう」と説明する。
ヤン・ウンギョン法曹専門記者・弁護士