60歳の高卒技術者がポスコ役員に昇進=50年の歴史で初

 2000年に浦項工場で熱延工程の電動機から出火し、大きく破損する事故が起きた。会社が日本メーカーに支援を求めると、「日本に運んで、6カ月以上かけて修理しなければならない」と言われた。一部工程を長期にわたりストップしなければならない状況だった。

 当時ソンさんは「自分が修理するから、数日間だけ時間をくれ」と言った。周囲は「自分たちの技術ではどうにもならない」と止めた。しかし、ソンさんは4昼夜で修理をやり遂げた。そして、電動機がうなりを上げて動き出し、工場が再稼働した。

 「修理後は自宅で2日間寝続けた。当時のやりがいは一生忘れられないものだ。6カ月かかると言われた修理を4日で終えられたのは、上司の信頼があり、同僚や後輩が私のやり方に従ってくれたからだ。そうした信頼の中で現在の自分がいる」

 ソンさんはそうした経験を個人的なものとはせず、常に記録している。「技術者は現在の状況を正確に記録して残し、共有しなければならない。そうすることで、共同の記憶となり、記録の限界を超えることができる」と話す。

 ソンさんは自己啓発にも熱心だった。14年には夜間に専門大学で学び、電気工学科の学位を取得し、電気技能匠、電気技師など8つの資格も取得した。

 ソンさんは「41年間、新しい技術と知識を学び、それを現場に生かすのが楽しかった。だから目標以上の成果も自然と収めることができた」と話した。

辛殷珍(シン・ウンジン)記者
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