【コラム】児童の心を傷つけるソウル市の慰安婦歴史教育

ドイツでは14歳以上のみがナチスの収容所を見学…残酷な犯罪は扱わず、心ある人の活躍を伝える
韓国では小学生の教材に「性奴隷」の表現…心理的ショックも考慮して保護すべき

【コラム】児童の心を傷つけるソウル市の慰安婦歴史教育

 元従軍慰安婦が経験した被害を小学生に教えようとする人々は、「歴史を忘れた民族に未来はない」という格言をひんぱんに引用する。その言葉に間違いはない。失敗と恥辱の歴史を繰り返さないためには、過去を反すうし、その教訓を未来の世代に伝えなければならない。日本は韓日合意を根拠に「慰安婦問題は取り上げるな」と言うが、かつての過ちをやみくもに水に流すのは、子孫のためにも望ましい態度とは言えない。

 ソウル市が7月初めから小学5年生・6年生の児童と中学生を対象に施行している日本軍慰安婦被害者歴史教育も、こうした趣旨から始まったことだ。だが内容を見てみると、「子どもにこんなことまで?」という心配をおのずと抱いてしまう。ソウル市が制作した教材には、「日本軍慰安婦は性奴隷」「朝から夜まで…絶えず性暴力」などの表現が用いられている。子どもにとっては過剰な内容ではないかという指摘がなされると、ソウル市側は「教師にアドバイスを求め、『子どもたちは性教育を受けているので、この程度ならば問題になることはない』という回答を得た」とコメントした。戦時における女性に対する性暴力は、人間性を抹殺する犯罪だ。これをどうして性教育と同じ次元で取り上げることができるのか、疑問に思った。一部の人は「ドイツもナチスの犯罪の歴史を教えているではないか」と問い返してくる。これもまた正しい。だがその人々は、ドイツがホロコースト関連の教育の対象者や内容のレベルを決めるに際し、生徒の年齢をまず考慮しているという事実には注目しない。

 ナチス・ドイツ時代、ワイマール郊外にあったブーヘンバルト強制収容所は、強制労働や生体実験などにより5万6000人が死亡した場所として悪名高い。ドイツは若者の見学プログラムを整備し、当時の蛮行を後世に伝えている。ただし、対象は韓国の中学3年生に相当する満14歳以上の生徒たちだ。ナチス・ドイツが作った最初の強制収容所、ダッハウは、拷問室やガス室、火葬場を備えていた。ここのホームページにアクセスすると「ダッハウの教育部門が作る案内資料は、14歳以上を対象にしている」と書かれている。それより年齢が低い子どものための教育用資料は、そもそも作っていない。旅行会社も、14歳未満には見学ツアーを販売しなかったり、両親の同行を勧めたりしている。

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