【コラム】1964年の朴正煕と2018年の文在寅

 政権発足から1年3カ月が過ぎた文在寅(ムン・ジェイン)政権が、経済で苦戦を強いられている。同政権は最低賃金の引き上げを通じた所得主導の成長、そして規制緩和を通じた革新成長を成長の二大軸とし、働き口を創出する政府を目標とした。しかし、青年失業率は最悪で、所得最下位層はむしろ収入が減っている。企業の設備投資も下降線の一途をたどっており、成長エンジンまでも冷え込みを見せている。規制を緩和して企業の活力を生かす先進国とは正反対の路線を採択。税金を増やして働き口を創出するといった逆路線に固執した代価は大きい。

 多くの経済専門家は「現政権が現場と懸け離れた所得主導の成長に固執し、大企業の貴族労組の既得権は放置するというような経済哲学を捨てない限り、韓国の経済状況が改善される可能性は極めて低い」と声をそろえる。

 これまでびくともしなかった文大統領に最近一部で変化の兆しが見られている。インターネット銀行の育成のために、銀産分離(産業資本は銀行の持ち株を最大10%までとした規定)を緩和する方針を明らかにし、大々的に規制革新する意向を発表したのがその一例だ。大統領の周囲は「民生解決のための実事求是(事実に立脚し、真理を探求しようとする態度)精神」と説明する。

 しかし、与党や文大統領の支持層からは、非常に厳しい反発を受けている。与党中核メンバーは「現在の経済危機論は、保守勢力が助長したもの」という鋭い主張までが飛び出した。しかし、非現実的な所得主導成長路線を金科玉条(大切に思い、守らなければならない規則や教訓)のように捉え、規制網はそのままに革新成長を目指すといった発想そのものが、はるかに保守的ではないのか。文大統領がこうした障害を突破して方向転換できるかどうかに、残された任期の成敗が懸かっている。

チェ・ギョンウン論説委員

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