自主路線強める文在寅政権に野党・識者から懸念の声

文大統領に続きイム室長も「明日を変えるのはわれわれ」

 この演説の中で文大統領は「韓半島(朝鮮半島)問題はわれわれが主人であるという認識が非常に重要だ」「南北関係の発展は朝米関係進展の副次的な効果ではない」などとも述べた。その後、韓国政府は南北共同連絡事務所設置や京義線鉄道の調査などを積極的に推進しようとした。しかし米国のポンペオ国務長官の訪朝が取りやめになると計画は次々と延期され、9月の南北首脳会談も具体的な日時はまだ決まっていない。

 このような状況で改めて「独自性」を強調し、南北関係の速度を上げたい考えを明らかにしたと考えられる。これまで韓米同盟を強調してきた鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長も今月1日の党・政府・大統領府の全体会議で「南北共同連絡事務所を今月初めに設置する」と述べた。大統領府は今回北朝鮮に派遣する特使団を通じ、南北首脳会談はもちろん南北共同連絡事務所設置の日時も決めたい考えだ。大統領府の関係者は「米国は非核化と歩調を合わせるよう求めているが、一方で北朝鮮からはいつまで米国の顔色をうかがうのかと言われる。われわれの確かな意志がないと、今の状況を打開することはできない」と述べた。

 しかし野党や識者らは南北関係改善をあまりにも急いだ場合、米国との関係悪化や北朝鮮制裁の亀裂につながると懸念する。北朝鮮の「わが民族同士」戦略に利用される恐れがあるというのだ。尹徳敏(ユン・ドクミン)元国立外交院長は「南北関係を発展させるためにも今は米国と協力し、北朝鮮に対して非核化に応じるよう圧力を加えるべきだ」と指摘する。高麗大学の金聖翰(キム・ソンハン)教授は「米朝交渉の仲裁役をしたいのなら、南北関係と非核化については米国と一致した立場に立たねばならない」と語る。保守系野党・自由韓国党の尹永碩(ユン・ヨンソク)首席広報担当は「イム室長の発言は北朝鮮が主張するわが民族同士のやり方と同じだ。国際社会と歩調を合わせない南北関係改善は北朝鮮の非核化を一層複雑にするだろう」と批判した。

鄭佑相(チョン・ウサン)記者 , イ・ミンソク記者
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