【コラム】韓国から世界的な建築家を輩出するために必要なこと

 プリツカー賞も設計図ではなく、実際に建てられた建築物を見る。実際に建築過程全体が評価の対象だ。その過程でさまざまな利害関係を調整して適切なデザインで表現するのが建築家の役目だ。設計技法はその役目を遂行する一つの手段にすぎないのだ。

 安藤が自分の作った空間を指して「昔で言えば縁側」と語る場面がある。日本の伝統建築における縁側とは、韓屋のテンマル(縁側)に近い。短大にも行けずに建築を独学で学んだ安藤が巨匠として褒めたたえられるのは、日本の伝統的空間を現代風に表現し、普遍性を獲得したからだ。プリツカー賞でも地域性という主題が、バルクリシュナ・ドシ(2018年、インド)、王ジュ(2012年、中国)のような近年の受賞者たちの作品からも共通して見受けられる。同賞が絶対的基準ではないが、設計技法よりは地域性に対して真剣に悩むその姿勢が、良い建築家としての資質につながっているという点を物語っている。

 若い建築家をサポートするという趣旨は素晴らしいかもしれないが、その目標が賞を受賞するところにあっては困る。建築家をサポートすると言っているにもかかわらず、建築家たちが反発している状況を国土部は重く受け止めなければならない。拙速に進められる設計公募展、時代錯誤的な法規、設計者のアイデアをずたずたに引き裂く建築審議。海外で学んできて賞を取れと言う前に、建築を取り巻く韓国の不毛な土壌から、まずは改善されるべきだろう。

チェ・ミンギ文化部記者

前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • 【コラム】韓国から世界的な建築家を輩出するために必要なこと

right

あわせて読みたい