【コラム】法治の上に正義が君臨するときに起こること

 司法行政権乱用の疑いで裁判を受けているヤン・スンテ前最高裁判長は「古今東西を問わず、三権分立を基礎とする国で、裁判に対してこのように残酷な捜査を行ったケースが大韓民国以外のどこにあるのか、ぜひともうかがいたい」と訴えた。ヤン前最高裁判長は、なぜこんなにも絶叫するのか。司法壟断(ろうだん、利益を独占すること)をしたのなら、国家の根本を揺さぶる重大犯罪だ。すでに世論による裁判は決着が付いている。今では法的な判断が残されているだけで、ヤン前最高裁判長が訴えることができる所は裁判所だけだ。従ってヤン前最高裁判長の声にもっと耳を傾けるべきなのだ。それこそ法治国家であり、文明社会なのだから。

 しかし、現在のところ韓国国民の大多数が「正義」を「法」の上位概念として捉えているようで嘆かわしい。国政をリードする人々がこうした考えをひそかに、そして絶えず注入しているからだと筆者は判断する。キャンドル革命がつくり出した政府という表現に、その考え方が端的に盛り込まれている。しかし、もしも「法治破壊」を統治手段とする心があるならば、非常に危ない考え方だと指摘しなければならない。キャンドル革命は、朴槿恵(パク・クンヘ)政権を弾劾したことで完成した。弾劾は大韓民国の憲法と制度によって秩序的に進められ、それがキャンドルによる国民の心だった。文在寅政権はその結果として誕生した政府であるだけで、国民は法と制度によって国家を運営するよう権限を委任した。誰一人として「キャンドルの正義」が現政権だけのものと発言したことはない。キャンドルの正義のために法を無視するよう許可したことも一度もない。ところが、なぜいまだにキャンドルで国民の心を奮い立たせようとし、法治を脅かそうとするのか。正義を法の上に残そうとする危険な試みを今すぐ取りやめなければならない。これが文在寅大統領の話した基本であり、常識だろう。

シン・ドンウク・テレビ朝鮮ニュース9アンカー

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