【社説】テレビ討論でうそをついてもよいという韓国大法院判決

 二審で当選無効判決を受けた李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事が大法院で無罪の趣旨の判決を受け、知事職にとどまることになった。2018年の地方選挙当時、テレビ討論で「兄を精神病院に強制入院させようとしたか」という相手候補の質問に対し、「そんなことはない」と答えた。その点が虚偽事実の公表に当たるかどうかが争点となった。李知事は城南市長時代、保健所長らに兄を精神病院に入院させることを検討するよう指示した。一、二審はもちろん大法院も事実を認定した。ところが、李知事は討論会で「そんなことはない」「自分が(入院を)最終的にさせなかった」と述べた。自身が指示した部分は省いて発言した。事実上自身は関与していないという趣旨の発言と解釈するほかない。

 ところが、大法院は「該当する発言は積極的かつ一方的に表明して知ってもらおうと意図した公表行為とは言えない」と指摘した。そうすると、これからはさまざまな選挙のテレビ討論で相手候補の質問にうそをついてもよいことになる。選挙でテレビ討論の重要性はますます高まっている。それなのにそこでうそを言ってもよいなどというのは、裁判所の判決とは信じられない。

 大法院が李知事の裁判を全員協議体に委ねたときから免罪符を与えようとするものではないかとする声が聞かれた。その通りになった。それでも大法官12人のうち5人は反対意見を出した。それだけ問題が多い判決だったと言える。

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