【社説】テレビ討論でうそをついてもよいという韓国大法院判決

 大法院のおかしな動きは相次いでいる。大法院は殷秀美(ウン・スミ)城南市長に対する当選無効判決も覆した。大法院が殷市長の政治資金法違反を有罪と判断しながら、検察の控訴状不実記載という「手続き的な瑕疵(かし)」を問題にして、当選無効判決を取り消すという異例のケースだった。与党所属の市長を大目に見た判決というほかない。

 4月15日の総選挙以降、裁判所の政治判決に対する懸念が高まっている。「ドルイドキング裁判」を受けている金慶洙(キム・ギョンス)慶尚南道知事は二審公判が数回延期され、判決は今年末にずれ込む見通しだという。選挙法事件の場合、一審は6カ月以内、二審と三審は3カ月以内に終えなければならないという規定があるが、大法院判決まで待てば、金知事は任期を満了する可能性もある。大統領を「兄」と呼んでいたという柳在洙(ユ・ジェス)元釜山市副市長は業者から賄賂を受け取った罪で身柄拘束状態で裁判を受けていたが、「受け取った物もあるが、与えた物もある」という世にもまれな法理で執行猶予が付いて釈放された。贈賄側の人物は拘束されたが、収賄側のチョ・グク元法務部長官の弟に対する令状請求は却下された。チョ元長官は裁判に出廷するたびに護衛を帯同し、支持者に囲まれた状態で登場し、裁判所に圧力をかけている。裁判所が「法治の最後のとりで」ではなく、「政権の最後のとりで」へと変質している。

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