【朝鮮日報コラム】「MeToo第1号」の選択的な怒り

 ところが徐志賢検事は朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長の自殺以降、沈黙している。今年4月に呉巨敦(オ・ゴドン)前釜山市長のわいせつ行為・セクハラ事件の時も、その前の安熙正(アン・ヒジョン)前忠清南道知事事件の時も、何の声も上げなかった。徐志賢検事のフェイスブックには、秋美愛長官らの記事を転載し、「秋飛御天歌」(秋長官をたたえる歌・言葉)を並べた投稿ばかりが目につく。

 皮肉なことに、朴元淳市長の被害者の弁護人は、徐志賢検事のセクハラ事件の弁護を引き受けた金在蓮(キム・ジェリョン)弁護士だ。 2年前から徐志賢検事を支持してきた多くの女性団体が一斉に今回の事件の真相究明を要求し、20代女性の79%が「真相調査が必要だ」と世論調査で答えた。人々は「2次被害を受けている朴元淳市長の被害者のことは、徐志賢検事が誰よりもよく理解している」と信じていた。ところが、「これまでと同じようにこの問題についても立ち上がってほしい」という要求に、徐志賢検事は「パニック障害が再発した」と病気を理由にコメントを避けた。

 徐志賢検事を男女平等政策諮問官に任命した秋美愛長官は「賭博のような不動産投機ブームに法務部長官が沈黙するのは職務放棄」と政界に口を挟みながらも、いざ人権守護の主務長官として立ち上がるべき時には朴元淳市長の被害者に対して沈黙し、職務放棄している。「フェミニスト」を自任する文在寅(ムン・ジェイン)大統領からして一言も発していない。これらの人々は「MeToo運動」の判断基準も政治的見解や陣営論理によって違うのだろうか。もしそうならば、女性をはじめとする弱者の人権を口にする資格はない。

社会部=朴国熙(パク・ククヒ)記者

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