【コラム】顕忠門の「安重根体」は残念

最近変更された大田顕忠院の扁額…安重根義士の書体というが、子音と母音を組み合わせて作った創造物

 そもそも「安重根体」とは何なのか。昨年、安重根義士の義挙110周年を記念して、安重根義士記念館と韓国著作権委員会が制作した書体だという。安重根義士記念館によると、安義士が書いた「丈夫歌」のハングル書体から型を抜粋して開発された。「丈夫歌」は、安義士が義挙の3日前に挙事に対する思いを込めて作ったもので、直筆の原本は国内には存在しない。記念館の関係者は「日本の検察が安義士を取り調べる際、A3原稿用紙を渡して『丈夫歌』の内容を書かせた。安義士は左側にハングル、右側には漢文で書いた」とし「私たちが持っているのは原本を撮影した写真資料」と説明した。この写真からハングル文字を抽出して安重根体を開発したというのだ。

 しかし、「丈夫歌」に記されたハングルはわずか170字程度にすぎない。代表書体として開発するには一次資料が非常に不足しており、他の漢文の遺墨から湧き出る迫力と気概もあまり感じられない。美術史家のファン・ジョンスさんは「紙1枚に書かれた文字が幾つか残っているからと言って代表書体を作成したのも無謀な取り組みだが、さらに深刻なのはそのようにして開発された小さな文字を専門家の諮問もなしに扁額として掛けたことだ」という。扁額には大きな字を別途に書くのが原則だが、相性のあまり良くない文字を組み合わせることで奇怪な扁額が誕生した、というのだ。

 報勲処の関係者は「安義士は国を代表する独立運動家であり、今日の軍人精神のかがみとなる偉人であるため、安義士の字体を盛り込むことで安重根精神をたたえようとした」と説明した。子音と母音をそれぞれ分解して組み合わせた「顕忠門」の3文字から、一体どんな躍動感や機運が感じられるのか、何度見てみてもよく分からない。

ホ・ユンヒ文化部次長

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